頴娃弁は日本一難しい?暗号レベルの方言の特徴や意味まで解説!

鹿児島県南九州市で話される頴娃弁は、日本一難しい方言としてメディアで幾度も取り上げられています。方言に対して使われる「なまっている」を超す難解さから暗号レベル、もはや外国語などといわれている頴娃弁。今回は、頴娃弁の特徴や言葉の意味などをご紹介いたします。

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目次

  1. 1暗号レベルに難解な「頴娃弁」
  2. 2頴娃弁は日本一難しい?
  3. 3頴娃弁が話されている鹿児島県の頴娃
  4. 4頴娃弁の4つの特徴
  5. 5頴娃弁講座1「挨拶」
  6. 6頴娃弁講座2「簡単な会話」
  7. 7頴娃弁講座3「人の呼び方」
  8. 8頴娃弁講座4「ものの数え方」
  9. 9頴娃弁講座5「物の名前」
  10. 10頴娃弁講座6「接頭語ひん・けん」
  11. 11頴娃弁講座7「感嘆詞」
  12. 12頴娃弁の難しさはまさに暗号!
  13. 13日本一難しい方言「頴娃弁」は南九州市にあり!

暗号レベルに難解な「頴娃弁」

頴娃(えい)弁は、鹿児島県南九州市の頴娃で話される方言です。日本の方言の中でも特に難しい方言が話されているとされている鹿児島の中でも南九州の頴娃弁は特に難しいといわれ、鹿児島県民でも頴娃弁はわからない部分が多いと言われています。あまりに難しいため、英語をもじった「エイ語」と呼ばれるほどの頴娃弁についてご紹介いたします。

頴娃弁は日本一難しい?

一口に日本語といっても、日本にはその地域によりさまざまな方言が見られます。標準語を話していると思われている東京都に住む人の中でも、その土地で少しずつイントネーションや言葉が違ってくることがあります。「べらんめえ」など下町言葉を想像していただくとわかりやすいかもしれません。

また、同じ方言と思われている中でも違う方言だと区分されることもあります。関西弁が顕著な例でしょう。同じ関西弁を話している大阪府と京都府の人々ですが、それぞれを大阪弁と京都弁と分けて考えていたり、テレビ番組でも特集が組まれたりします。その大阪弁の中でも、地域の中も摂津弁・河内弁・泉州弁など細分化されます。

昨今、大河ドラマなどで鹿児島の方言が難しいと話題になっています。「西郷どん」の方言が難解で、鹿児島県に住んでいる人も含めて、首を傾げた方も少なくないのではないでしょうか?そんな鹿児島の方言の中でも、輪をかけて難しいと言われているのが南九州市の頴娃で話される頴娃弁です。

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頴娃弁が話されている鹿児島県の頴娃

頴娃弁は、鹿児島県の南九州市頴娃で話されている方言です。頴娃は、鹿児島県南部、左側の半島である薩摩半島の南にあり、東シナ海に面しています。頴娃では農業が盛んで、さつまいもや茶が栽培されています。ちなみに、頴娃弁ではさつまいものことを「カライモ」と呼ぶのだそうです。

頴娃弁の4つの特徴

頴娃弁は、大きく分けて4つの特徴があげられます。1つ目の特徴は、濁音が多いことです。特に、頴娃弁ではない言葉のカ行やタ行が頴娃弁になると頻繁に「ガギグゲゴ」「ダヂヅデド」と発音されます。頴娃弁の2つ目の特徴は、鼻音や鼻濁音が多いことです。鼻音とは、マ行やナ行のこと。鼻濁音とは、ガ行や一部のンがそれに該当します。

頴娃弁の3つ目の特徴は、言葉の使い方に男女差が少ないことです。例えば同じ意味の「~じゃないですか?」を例にしてみましょう。「~じゃないですか?」は、「~じゃね?」「~じゃん?」と言い換えることができます。前者は男性的、後者は女性的な印象を受けます。

もちろん、前者も後者もどちらを用いても表現する意味は同じであり、性別がどちらでも使用可能なのですが、ニュアンスとして性差が表れます。このように、言葉の使い方にはある程度の男女差が存在します。しかし、頴娃弁ではそれが少ないと言われているのです。

頴娃弁の4つ目の特徴は、抑揚です。日本語は比較的抑揚が平坦な言語だと言われています。外国語を学習する際に苦労したことがある方も少なくないのではないでしょうか。頴娃弁の抑揚は独特で、強弱が激しいために他の地域の人からすると暗号のように思われ聞きづらい傾向があります。

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頴娃弁講座1「挨拶」

外国語は話せなくても挨拶は知っているという方も多いのではないでしょうか。まずは頴娃弁の挨拶をご紹介いたします。「おやっとさあ」。焼酎の名前で聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。これは、「お疲れさま」という意味で、挨拶代わりに頻繁に使用される言葉です。

「ひさしかぶい」。漢字にすると久しかぶいでしょうか。「久しぶり」という意味で「り」が「い」に変化しているのが特徴です。次は、「あいがともさげもした」。ありがとうという意味です。こちらでも、「り」が「い」に変わっています。語源としては、「ありがとう」と「申し上げました」が合体したのではないかと考えられています。

頴娃弁講座2「簡単な会話」

次は、挨拶より踏み込んだ内容に入っていきたいと思います。まずは外出する場面の会話をご紹介いたします。「いだぐっじぇなー」。濁音が多いこれは、「いってきます」を意味する言葉です。出かけていると、こんな電話が。「いまどげおいか?」。なんとなく想像がつくかもしれません。

「いまどげおいか?」は、「今どこにいるの?」という意味です。「今どこへおるか?」が変化したものだと考えられます。更に電話は続きます。「なゆせじょっどごいか?」こちらの意味は「何をしているところですか?」やはり濁音が多めで、「何してるの?」より迫力があるような気がします。

頴娃弁講座3「人の呼び方」

方言といえば、一人称が特徴的なものが少なくありません。「おら」「あっし」「うち」など自分のことを指す言葉が日本各地で見られます。頴娃弁の一人称は「おい」や「おいどん」。「あなた」を指す二人称は「わい」。「わい」には「どん」がつかないようです。

「どん」といえば、西郷隆盛を指す「西郷どん」が有名です。「どん」自体は、頴娃だけでなく鹿児島で広く使われているようですが、頴娃弁では職業にも「どん」がつくのが特徴的。例えば「お医者さん」を「いさどん」。「大工さん」を「でいどん」、「お坊さん」を「ぼいどん」など、敬称のように使われています。

頴娃弁講座4「ものの数え方」

頴娃弁では、ものの数え方も独特。「いち、に、さん」「ひ、ふ、み」「ひとつ、ふたつ、みっつ」など日本では数え方が後に続く単位などによって少しずつ違うことがあります。そのため、ある程度は想像の範疇で補う面があります。頴娃弁のものの数え方はそれでも少し独特です。

「ひと、ふた、みー」。ここまでは、「ひとつ、ふたつ、みっつ」のパターンと似ています。「よー、いじゅ、むー、なな、やー、ここの、とー」さりげなく違和感を抱く数え方が混じりました。頴娃弁では、「5」にあたる数字が「いじゅ」となっているのが特徴です。

頴娃弁講座5「物の名前」

鹿児島県の特産品といえば、昔の国名である薩摩の名がついているさつまいもでしょう。鹿児島名物の焼酎や、さつま揚げもぜひ食べておきたいところ。これらの名産品も、頴娃弁では違う呼び方をします。さつまいもは「からいも」。唐芋からきているといわれています。

からいもこと、さつまいもが原料の芋焼酎や麦・米・黒糖などさまざまなバリエーションが楽しめる焼酎。頴娃弁では「しょじゅ」となります。魚の練り物を揚げたさつま揚げは「ちけあげ」。ちなみに、さつま揚げは鹿児島では主に「つけ揚げ」と呼ばれ、琉球方言では「ちきあぎ」と呼ばれているそうです。

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頴娃弁講座6「接頭語ひん・けん」

頴娃弁では、動詞の前に「ひん」や「けん」など特徴的な接頭語がつくことがあります。この接頭語が動詞に付属することで、その動詞が強調されていたり、意味が変わってきたりするなどのルールがあったり、規則性があったりするわけではないため、頴娃弁を理解するうえで難しい存在だとされています。

「ひん」や「けん」が使われる例を紹介しましょう。まずは、「飲んだ」というときは「ひんのんだ」。寝ていることを伝える時は、「ひんねっちょど」となります。疲れているときは「けんだれた」。「疲れる」を意味する「だれる」に「ひん」がつく形となります。

頴娃弁講座7「感嘆詞」

頴娃弁講座の最後のパートとして、頴娃弁の特徴的な感嘆詞をご紹介いたします。「えっ!」「うん」などとっさに出る言葉は文脈から判断しづらく、更に頴娃弁を難しいものと思わせます。まずは「そうだよ」と肯定の意を伝える場合の「じゃっど」。「だけど~じゃない?」と否定する言葉に似ているので注意が必要です。

「じゃっど」と似た発音の「じゃーかにー」という言葉もあります。これは「そうなんだ」と相槌を打つときに使います。人は驚いたときに「えっ!」ととっさにあまり意味のない言葉が口からでることがあります。頴娃弁ではこれが「うんだ!」と少し長めの言葉となります。

更に、「えっ!」より少し疑問を抱いた時に出る「なんだって?」を意味する言葉は、頴娃弁にすると「うんだもしたん」となります。このように、頴娃弁は長めのセンテンスも多く含みます。また、早口で発音され、抑揚も大きいために難しい印象を受ける方が多いのかもしれません。

頴娃弁の難しさはまさに暗号!

頴娃弁の難解さの原因は、一説ではその発祥によるものであるようです。頴娃は、鹿児島県の南端、南九州に位置します。江戸時代は貿易港として栄えていました。しかし、その時代の日本は鎖国の体制をとっていました。そのため、薩摩藩は琉球など外国と秘密の貿易を行っていました。

密貿易を行う際、相手との会話から周囲に商談をしていると知られては一大事です。そのため、密貿易には独特の言語を使いました。その言葉こそが頴娃弁のルーツだといわれています。また、鹿児島弁の中でも特に難しい頴娃弁は、江戸時代以降にも活躍したと伝えられています。

時は、第二次世界大戦。文明の発達した時代の戦争は、通信傍受も重要な戦略のひとつ。日本軍は、頴娃弁を早口で用いることによって暗号としたというエピソードが残されています。敵軍は、日本軍の通信から新しい言語が流れてきていると錯覚させられ、暗号解読がしづらかったといわれています。

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日本一難しい方言「頴娃弁」は南九州市にあり!

最後までご覧いただき、あいがともさげもした(ありがとうございます)。頴娃弁は、鹿児島県南九州市の頴娃で話されています。その独特の発音や抑揚、言葉から日本一難しい方言ではないかといわれています。一説には、暗号としても利用されていたという頴娃弁に少しでも興味を持っていただければ幸いです。

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この記事のライター
serorian

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