2018年12月17日公開
2018年12月17日更新
十字架の丘はリトアニアの世界遺産!行き方や歴史・観光の見どころを紹介!
十字架の丘は、世界でも類の見ない数の十字架を一度に見られる、リトアニアの誇る世界遺産です。これまでは知る人ぞ知る観光名所でしたが、近年訪れる観光客が増加しており、賑わいを見せはじめています。十字架の丘の歴史と観光の見どころについて、詳しくご紹介します。

目次
リトアニアにある「十字架の丘」とは?
「十字架の丘」とは、リトアニア北部に位置する都市「Šiauliai(シャウレイ)」にひっそりとたたずむ世界遺産です。他の世界遺産が持たないような、独特かつ厳かな雰囲気を持つ世界遺産が、この十字架の丘です。
この字架の丘は2001年に「リトアニアの十字架の手工芸とその象徴」のひとつとして、無形文化遺産の「代表一覧表」に記載されています。シャウレイの北12kmに位置するこの世界遺産、十字架の丘は一見するとお墓のように見えます。
ですが実際にはお墓ではなくこの十字架は、リトアニア国民によるロシアへの非暴力的抵抗を表した歴史の「象徴」です。
かつてリトアニア国民がロシアの圧力に抵抗し、分たちのアイデンティティを守るために築きあげてきたという歴史を持ち、リトアニア人にとっては威厳ある場所でもあります。
世界遺産・十字架の丘の歴史とは?
十字架の丘の歴史のはじまりについて、だれがいつ建て始めたのか、詳細にはわかっていません。十字架の丘の起源は17世紀以降とされています。
当時ロシアの支配下だったリトアニアの国民が、ロシアの圧政によって処刑された人々や、シベリアへ流刑されたリトアニア人たちを慎んでこの丘に十字架を建て始めました。犠牲者を祀るため、遺族が十字架を立てたのが起源とされています。
ロシア軍は4度の撤去を試みましたが、自然とまた十字架が建てられ、次第に現在の形となったそうです。その後、第一次世界大戦が始まると、リトアニアはドイツの支配下に。
1918年にドイツが崩壊し、リトアニア共和国として独立を果たします。第二次世界大戦中の1940年ふたたびロシアに占領されるという歴史をたどります繰り返します。1990年にふたたび独立を果たす際には6万本以上の十字架が建てられたといいます。
1993年にローマ法皇が訪れた際、同時に10万人がこの丘に訪れました。キリストへの信仰の意味を込めて、亡くなった人の慰霊の想いを込められ、現在も5万本以上の十字架が建つといいます。
世界遺産・十字架の丘の現在
現在、十字架の数は5万を超えると言われていますが、観光客も十字架を建てることができるので、実際にはもっと多くの十字架が存在しているそうです。
十字架の丘は「リトアニアの十字架の手工芸とその象徴」として、2008年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。
ユーロ導入後のリトアニアは、観光客を増やし続けており、シャウレイの十字架の丘を訪れる人もそれに比例し、徐々に増加する傾向にあります。
十字架の丘の見どころ!
なんといっても5万本以上ともいわれる十字架のひとつひとつこそが、リトアニアの誇る世界遺産、十字架の丘の見どころです。そして5万本以上の十字架は、ロシアやドイツといった大国にも屈服しない、リトアニア国民の強さと愛国心の証でもあります。
そこから感じ取れる歴史や、厳かな雰囲気も最大の見どころのひとつといえるでしょう。また、もうひとつの見どころは、イエスの受難像やリトアニアの英雄の彫刻、聖母マリア像や肖像画、ロザリオ等があることです。これはカトリック教会の巡礼者によるものといわれています。
十字架の丘のある「シャウレイ」はどんなところ?
リトアニアのシャウレイはリトアニアの北部に位置します。人口13万人ほどの街で、リトアニア第4の都市です。リトアニアの首都ヴィリニュスとは、約210kmの距離が離れています。
世界遺産である十字架の丘を有し、古くからラトビアとの交易、織物業、皮革産業によって発展します。さきほどもご紹介の通り、第一次世界大戦と第二次大戦によって、大きな被害を受けた地域のひとつです。
リトアニアの各都市からシャウレイへの行き方!
代表的な都市としての首都ヴュリニュス、リトアニア第二の都市カウナスから1日10本ほど出ているバスに乗り、シャウレイに向かいます。どちらの都市からでも約3時間と、かなりの時間を要することになります。
また首都ヴィリニュスからの、鉄道を使った行き方だと1日約3便、所要時間は約2時間30分を目安にしてください。
シャウレイから十字架の丘への行き方
十字架の丘はシャウレイの中心地から約12km離れています。最寄りであるシャウレイからも離れている、ヨーロッパの秘境地です。バスと徒歩を使った行き方になり、長時間の覚悟は必要です。帰り道も同じように、逆をたどるだけです。
シャウレイのバスターミナルに到着したらターミナル内部に入りましょう。十字架の丘へと向かうバスは、シャウレイバスターミナルを始発としています。
このバスターミナルは、バスで他都市からシャウレイに入る場合に利用します。シャウレイの市街中心部メインストリートより徒歩10分ほど、シャウレイ中央駅からも徒歩10分ほどの位置にあります。
バスターミナル内部にはチケットオフィスと併設して、インフォメーションがあります。ここで十字架の丘行きの時刻表がもらえるので、必ず入手しておきましょう。
言葉がわからなくてもドマンタイの単語だけで伝えれば、時刻表をもらえるはずです。12番のプラットフォームから発着するバスに乗れば十字架の丘へ向かえます。
受け取った時刻表に書かれた時間を参考に、プラットフォーム12番に向かうと、バスが停車していると思います。バス本数は少ないので乗り過ごさないようにしましょう。
十字架の丘へ行く行き方は、「ヨニシュキス(Joniškio)」行きに乗り、十字架の丘の最寄りである「ドマンタイ(Domantai)」で下車するという行き方になります。
バスによっては車内アナウンスがないので、運転手にドマンタイに着いたら知らせてもらうように頼んでおくいことを忘れないようにしましょう。乗車料金は1名0.8€です。
下車後はひたすら直進し十字架の丘へ!
ドマンタイ下車後の行き方について。来た道を約50m戻った場所にある分かれ道に十字架がありますので、それを目安に脇道に入ってください。その先は歩道のようなものはないので、車に注意して歩きましょう。
あとは何もない道をひたすら、まっすぐ歩きます。先ほどインフォメーションでもらった地図も行き方の参考にしてください。周辺の車の通りは10分に1台から2台ほどの印象です。
万が一迷子になってしまいそうになっても、近年は観光客も増えた関係で、観光バスは周囲を走っています。それを目印にしましょう。約2km、約20分で十字架が視界に入るでしょう。
バス利用時の注意点はある?
シャウレイへの行き方は、おもにバスを使うことになるでしょう。リトアニアでバスに乗る際の注意点としては、運行時刻のすこし前から待っておくことです。
リトアニアのバスの時刻表は日本ほど正確ではなく、時間前に来たと思ったら、時間を守らずに発車してしまうことも稀にあるそうです。とくにシャウレイ周辺を行き来するバスは、便を逃すと次の便まですくなくとも数十分待つことがほとんどなので、余裕を持った行動をしましょう。
世界遺産・十字架の丘のビジターセンター
ビジターセンターの営業時間は、季節によって変わるそうですが、基本的に10時開店です。お土産屋やカフェがあります。
十字架の丘自体は24時間いつでも解放されています。お手洗いや自動販売機など最低限の設備がり、散策路も整備されています。
住所 | Jurgaičiai 81439 Lithuania |
電話番号 | +370 41 370860 |
十字架の丘散策におすすめの時間帯やシーズン!
十字架の丘に行くなら、朝早い時間がおすすめです。リトアニアの誇る世界遺産は、いまや見どころの多い人気の観光地です。観光シーズンは多くの観光客が押し寄せます。
可能ならば、そういったシーズンは避けたいものです。歴史的に複雑な背景がある厳粛な十字架の丘だからこそ、なるべく人のいない厳かな環境で散策してみてほしいと思います。
十字架の丘へのタクシーでの行き方は便利?
バスでは予定が組みにくいという方へは、タクシーの利用をおすすめします。やや割高にはなってしまいますが、バスと比べると観光の時間に余裕ができること、帰りの移動の心配をしなくてよいというメリットがあります。タクシーで訪れている場合の料金は約25€です。
しかし「観光の料金は安く抑えたい」「タクシーを待たせていると落ち着いて散策できない」という方は、バスの利用がいいかもしれません。
秘境の地ということもあり観光サイトもタクシーでの移動を紹介していることは多いようです。初めての方はタクシーを検討するのもよいでしょう。
シャウレイで泊まるならここ!
シャウレイの周辺でお手ごろな料金での宿泊を希望の方には、ぜひともおすすめのホテルが「ホテルシャウレイ」です。十字架の丘を観光する際に、シャウレイでの宿泊を検討される方におすすめのホテルがあります。
シャウレイの中心部にある高層ホテルで眺めもよく、十字架の丘行きのバスが出るターミナルまでも徒歩10分ほどです。ホテルシャウレイは、1泊シングル約25€と格安でのホテルです。新しいホテルでこそありませんが、清潔感があります。
住所 | Draugystes pr. 25, Siauliai 76289, Lithuania |
電話番号 | +370 41 437333 |
世界遺産・十字架の丘の周辺観光スポット
十字架の丘で有名なシャウレイですが、十字架の丘だけでなく、まだまだ見どころがあります。はるばるリトアニアの秘境であるシャウレイに訪れたならば、なにも十字架の丘を見ただけで引き返すことはありません。ここではシャウレイの、ぜひとも抑えておきたい観光スポットをご紹介します。
チョコレート博物館
シャウレイのもうひとつの見どころは、ヨーロッパでよく見かける「RUTA」のチョコレート博物館。1913年創設のリトアニアのチョコレート会社は、本社がシャウレイにあり、チョコレート博物館を併設しています。
このチョコレート博物館内ではチョコレート作りもしており、その製造過程を見学することができます。ショップはかなりの充実を見せています。ぜひ作りたての手作りチョコレートを、お土産にされてみてはいかがでしょうか。
子供はもちろん、大人でも楽しめる、チョコレート作りのワークショップがあります。英語やロシア語、リトアニア語のワークショップになり、大人1名9ユーロで参加することができます。館内では「From Cocoa to chocolate」というビデオの干渉ができ、日本語音声にも対応しています。
また館内ではチョコレートにまつわる歴史なども学ぶことができます。アステカ文明の時代、アボガド1個はカカオ豆1粒、トマトはカカオ豆1粒という具合に紙幣の代わりとして使われていたそうです。
チョコレート博物館への入場料は、1名につき2.6€、入場券代わりに一番人気の板チョコがもらえます。チョコレート博物館の営業時間は、平日が10時から19時まで。土曜日10時から17時まで、日曜日が定休日なのが残念です。
聖ペテロ・パプロ教会
次の見どころは、17世紀に建てられたローマカトリックの教会である、聖ペテロ・パプロ教会です。約2000種類の装飾が見どころとして知られる教会です。
以前この地にあった教会は、1655年から1661年にあったロシアとの戦争で破壊されてしまい、17世紀に入って再建されたものです。この聖ペテロ・パプロ教会は、沢山の観光客で賑わう人気観光スポットです。
教会内部には複数の門があり、その両脇には見事な彫刻が構えます。彫像やレリーフはそれぞれ異なった美しさで、そのひとつひとつに思わず見入ってしまうことでしょう。
約2000種類もの美しい装飾類は、訪れるものを魅了し、時間が経つのを忘れさせる不思議な魔力があります。
1986年に1236年のリトアニア史の輝かしい事件のひとつであり、リヴォニア騎士団に大勝した戦いである、サウレの戦い。その戦いから750周年を記念して建立された目印の日時計広場、太陽板の噴水など、シャウレイの太陽にちなんだ7つのオブジェの内のひとつがあります。
外観は大きく、壮大さに溢れます。教会の前庭にある十字架も見どころです。また内装は圧巻の一言。白で統一されており、歴史を感じさせず清潔感があり、かつ素朴な作りです。彫刻のすばらしさに圧倒されるでしょう。
数あるビュリニュスの教会の中でも、圧倒的なインパクトを持つとってもよいでしょう。ここで結婚式を挙げる方も多いのもうなずけます。
聖ペテロ・パウロ教会は旧市街から約2kmと離れた場所にあり、歩いてもいけない距離ではありませが、バスか車を利用した行き方がおすすめです。ビリニュスを流れるネリス川の脇にある丘の上にあります。
日曜日はミサのため入口から入りづらい雰囲気なので、白地に白の美しい彫刻をしっかり見たい人は、日曜日と月曜日以外の日に行かれる方がおすすめです。
シャウレイの十字架の丘に行ってみよう!
いかがだったでしょうか。リトアニアが誇る世界遺産、十字架の丘の十字架そのものと、その厳かな雰囲気、そして空気感や歴史感の見どころは、文章でお伝えするには限界があるようです。
写真をご覧いただく、もしくは現地で直接ご確認いただくのが、もっともこの十字架の丘の威厳を感じていただけると思います。ぜひとも実際にはシャウレイの十字架の丘にお越しいただき、リトアニアの人々の誇りと愛国心の象徴である十字架軍に触れてみてください。