井波彫刻の特徴や歴史を紹介!「総合会館」では作品鑑賞もおすすめ!

井波彫刻は、富山県井波町(現・南砺市井波地区)で古くから作られている木彫刻です。この記事では、井波彫刻の歴史や特徴、作られ方、伝統工芸品、おすすめスポット、井波町へのアクセス方法などをたっぷりご紹介します。ぜひ井波へ旅行に行く際の参考にしてみてください。

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目次

  1. 1富山県井波町は日本一の木彫りの里
  2. 2井波彫刻の歴史
  3. 3井波彫刻の特徴
  4. 4井波彫刻の作られ方
  5. 5井波彫刻の伝統工芸品
  6. 6井波彫刻を見ることが出来るおすすめスポット2選
  7. 7富山県井波町へのアクセス
  8. 8井波彫刻の歴史に触れてみよう

富山県井波町は日本一の木彫りの里

富山県にある井波町(現・富山県南砺市(なんとし)井波地区)は、日本一の木彫りの町として知られています。

今回は井波彫刻の歴史、特徴、作られ方、伝統工芸品、おすすめスポット、井波町へのアクセス方法などをご紹介します。

日本遺産に認定された「井波彫刻」

この井波彫刻は、2018年5月に「木彫刻のまち 井波」として日本遺産にも登録されました。

彫刻工房と町家がたくさんある石畳の通りには、至るところに井波彫刻があり、まるで町全体が美術館のようになっています。

井波彫刻の歴史

はじめに、井波彫刻の歴史をご紹介させていただきます。井波彫刻には200年以上もの深い歴史があるんです。

井波彫刻の歴史を語るうえで欠かせることができないのが、瑞泉寺(ずいせんじ)という北陸最大の木造建築物です。

井波彫刻の発祥

瑞泉寺は、明徳元年(西暦1390年)に建立されましたが、宝暦12年(西暦1763年)に火災により焼失しました。

そのあと、瑞泉寺を再建するために前川三四郎という京都・東本願寺の御用彫刻士が派遣されました。

彼は井波の宮大工4人を弟子とし、木彫刻の技術を教えました。そして、その4人は京都の匠の技を吸収し、磨きながら、井波彫刻を作り上げていったんです。

技術が受け継がれ発展

瑞泉寺を再建するために始まった井波彫刻ですが、明治時代に入り、獅子頭や置物、衝立などを作るようになりました。

今では、ドアや照明器具、日用品、嗜好品など、様々なものに井波彫刻は影響を与えています。

このように、時代のニーズに応じて作品の選択肢を広げることで、250年以上にもわたって井波彫刻は受け継がれているんです。

井波彫刻の特徴

次にご紹介するのは、井波彫刻の特徴です。井波彫刻は、花鳥風月・人物・動物などがモチーフになっています。

そして、クスノキやキリ、ケヤキなどが原木になっています。これらをもう少し詳しくご紹介します。

花鳥風月・人物・動物などがモチーフの美術工芸品

はじめにご紹介する特徴は、モチーフです。井波彫刻は花鳥風月や人物、動物などがモチーフになっています。

井波彫刻で最も有名な「欄間彫刻(らんまちょうこく)」は、花や鳥、風景の図柄が彫られています。

また、井波彫刻のはじまりである瑞泉寺の大門には龍が、そして勅使門には獅子の図柄が彫られています。

クスノキ・キリ・ケヤキが主な原料

次にご紹介する特徴は、原料です。井波彫刻の主な原料は、クスノキやキリ、ケヤキなどです。これらはほとんどが日本国内から仕入れられています。

それらを半年から1年、長い時間をかけて自然乾燥してから、大きさや厚さを作品に合わせて切って、そのあと彫られます。

クスノキ

クスノキは色も香りも良くて、ノミの切れも良いのが特徴です。そのため、細かい作業が多い作品に向いているんだそうです。

クスノキがよく使われるのは欄間や置物などの作品で、主に九州地方から仕入れされます。

キリ

キリはひび割れが比較的少ない木で、狂いもあまりなく、軽いのが特徴です。獅子頭などによく使われます。

主な仕入れ先は、地元の富山県五箇山(ごかやま)なんだそうです。地産地消しているようで良いです。

ケヤキ

ケヤキは、木目がとても美しいのが特徴です。そのため、昔から日本人に愛されてきた木でもあります。

天神様や置物などの作品に使われるのが多く、主に九州地方から仕入れしているんだそうです。

井波彫刻の作られ方

ここからは、井波彫刻がどのような工程を経て作られるのかをご紹介させていただきます。

ご紹介する工程は一般的なもので、間に色を塗る工程が入ったりもするそうです。時間も手間もとてもかかるのが分かります。

原木選び~下絵

まず、クスノキやキリ、ケヤキなどの原木を日本国内から仕入れます。それらを半年から1年かけて自然乾燥させます。

しっかりと自然乾燥させたあと、作品に合わせた大きさや厚さに切ります。そして、木炭を使って和紙に描かれた下絵を材料に写します。

穴開け~荒おとし

そのあと、下絵のアウトラインに沿って、必要ない部分を糸ノコ機という機械を使って切っていきます。

そのあとは、15種類から16種類の荒削りノミをゲンノウでたたきながら、図柄全体の必要ない部分を削ります。これで、りんかくの目安をつけます。

荒彫り~仕上げ彫り

その後、また約1か月をかけて自然乾燥させます。乾ききったら、図柄全体を70種類のノミを使い分けて、削ります。

そして、さらに細い荒彫りノミを200本以上使って、彫刻を浮き上がらせます。ここまでの工程を、裏も同時に行います。その時、表を鏡で写し、表と裏がずれないように、慎重に彫ります。

最後に、仕上げ彫りという工程があります。ペーパーなどは一切使わず、細いノミを使いながら、繊細に、美しく彫ります。

井波彫刻の伝統工芸品

次に、屏風や衝立、獅子頭、欄間などの、井波彫刻の伝統工芸品をご紹介させていただきます。

興味があるものがあれば、ぜひインターネットで調べてみたり、井波に足を運んで実際に見てみてください。

井波彫刻の屏風

一つ目にご紹介する井波彫刻の伝統工芸品は、屏風です。屏風は普通、ふすまのようなものを数枚つなぎ合わせて作られます。柄があるものでも、そのふすまのようなものに絵を描きます。

しかし、井波彫刻の屏風は、すべてが木彫りです。絵と同じ柄でも、またひと味違う、力強い味わいを感じることができます。

井波彫刻の衝立

二つ目にご紹介する井波彫刻の伝統工芸品は、衝立(ついたて)です。ふすまや屏風と同じく、間仕切りとして古くから日本で使われてきた衝立も、井波では彫って作られます。

力強く迫力がある井波彫で作られた衝立は、和風建築にとても合って、より一層かっこよく見えるんだそうです。

井波彫刻の獅子頭

三つ目にご紹介する井波彫刻の伝統工芸品は、獅子頭(ししがしら)です。獅子頭は、獅子舞にも使われる、日本でも文化的にとても重要なものです。

白木のものや、黒く塗ったものや、赤く塗ったもの、様々な種類があります。最近は獅子舞にだけではなく、厄払いとして、一般家庭や職場などに置かれたりもするんだそうです。

井波彫刻の欄間

四つ目にご紹介する井波彫刻の伝統工芸品は、欄間(らんま)です。欄間は、明治時代に入ってから作られはじめた、比較的新しい井波彫刻の作品のひとつです。

明治時代に入って、井波彫刻が一般家庭の家にも使われるようになったため、欄間が作られるようになったんだそうです。

井波彫刻の仏像

五つ目にご紹介する井波彫刻の伝統工芸品は、仏像です。仏像は、金や銅、石などで作られるのが普通ですが、井波彫刻で作ると、とても繊細で美しい仏像が出来上がります。

お釈迦さまや観音様など、井波では様々な仏像が作られているので、もしかしたら町で見かけることもあるかもしれません。

井波彫刻の置物

続いてご紹介する井波彫刻の伝統工芸品は、置物です。井波彫刻の置物には、動物や武士など、小さいものが多いため、お土産などにもおすすめです。

また、最近は和風なものだけではなく、現代的なものや色が塗られているかわいいものも多くなっています。

井波彫刻のパネル

もうひとつ、お土産におすすめなのが、パネルという伝統工芸品です。立体的な絵画のような感じです。

季節や動物、花などをモチーフにしたものが多くて、施設のロビーなどの公的な場所だけでなく、一般家庭のリビングや玄関などにも飾られているんです。

井波彫刻の天神様

次にご紹介する井波彫刻の伝統工芸品は、天神様です。天神様というのは、菅原道真公のことです。

富山県では、長男が生まれると母親の実家から天神様の像を贈って、正月の間、リビングに置いて祝うという風習があるんだそうです。

井波彫刻の祭り彫刻

九つ目にご紹介する井波彫刻の伝統工芸品は、祭り彫刻です。山車(だし)や神輿(みこし)など、お祭りに使われるものにも、井波彫刻は使われているんです。

お祭りではあまり気にしたことはないかもしれませんが、注目して見てみると、案外面白いかもしれません。

井波彫刻のお雛さま

約1000年前の平安時代中期に始まり、今でも続いているひな祭り。3月3日には、ひな人形でお祝いします。

井波彫刻のひな人形は、木で作られているため、とても愛らしく、温かみが感じられるのでおすすめです。

井波彫刻を見ることが出来るおすすめスポット2選

ここからは、井波彫刻を見ることが出来るおすすめスポットを2つご紹介させていただきます。

井波彫刻の歴史や特徴、伝統などを知りたいならば「総合会館」、井波彫刻を目で見て堪能したいならば「瑞泉寺」がおすすめです。

井波彫刻を知るなら「総合会館」

井波彫刻を詳しく知りたい方は、「井波彫刻総合会館(いなみちょうこくそうごうかいかん)」に行かれるのをおすすめします。

総合会館の営業時間は午前9時から午後5時までですが、入館は午後4時半までなので注意してください。

また、総合会館の休館日は毎月第2・第4水曜日と年末年始です。休館日と祝祭日が被った場合は、その日は開館し、その翌日が休館となります。

入館料は大人500円、小中学生250円です。総合会館に駐車場はありませんが、隣接している「いなみ木彫りの里」という道の駅の駐車場を無料で利用することができます。

総合会館でやっている企画展

総合会館では、ほとんど1年中企画展をやっています。自分が興味ある企画展がやっているときに、総合会館に行ってみるのがおすすめです。

5月には端午の節句にちなんだ作品を展示する五月展、6月から7月は井波彫刻青年部蒼匠展、7月から8月は波の伊八パネル展をやっています。

8月から9月は、井波彫刻伝統工芸士の力作を展示する伝統工芸士会展、10月から11月は厚生労働省に認められた人たちのものを展示する一級井波彫刻士会展を見ることができます。

そして、11月から1月は、総合会館の入場口横で無料公開される天神様展、12月から3月は、お雛様展・招福展をやっています。ぜひ総合会館に行ってみましょう。

住所 富山県南砺市北川733
電話番号 0763-82-5158

井波彫刻の技法を堪能するなら「瑞泉寺」

井波彫刻の技法を十二分に堪能したい方は、「瑞泉寺」に行かれるのをおすすめします。井波彫刻のはじまりの場所なので、彫刻を至るところで見ることができます。

拝観時間は午前9時から午後4時半まで、休館日はありませんが、念のため行かれる前に公式ホームページをご覧ください。

参拝料は大人500円です。駐車場はないので、本町通りの交通広場の市営有料駐車場をご利用ください。

住所 富山県南砺市井波3050
電話番号 0763-82-0004

富山県井波町へのアクセス

最後に、井波彫刻を堪能することができる、富山県南砺市井波地区へのアクセス方法をご紹介します。

鉄道、車、飛行機、3つのアクセス方法があるので、行きやすい方法でぜひ行ってみてください。

鉄道

まず、東京からの行き方をご紹介します。JR東京駅から北陸新幹線に乗り、富山県のJR新高岡駅まで行きます。

そして、城端線(じょうはなせん)に乗り換えて、JR城端駅に到着です。約4時間30分でアクセスすることができます。

大阪からは、JR大阪駅から北陸本線に乗り、石川県のJR金沢駅で北陸新幹線に乗り換えます。

JR新高岡駅まで行き、その後、城端線に乗り換えてJR城端駅にアクセスし、到着です。約5時間かかります。

愛知からは、JR名古屋駅から東海道新幹線でJR米原駅まで行き、そこで北陸本線に乗り換えてJR金沢駅に行きます。

それから、北陸新幹線に乗り換え、JR新高岡駅まで行きます。そして、城端線に乗り換えてJR城端駅に行きます。所要時間は約5時間です。

二つ目に、車での行き方をご紹介します。東京からは練馬ICと高井戸ICから行く2つの方法があります。

練馬ICからは、上越・富山経由で、関越・上信越・北陸。東海北陸自動車道で南砺まで行きます。所要時間は5時間30分ほどです。

高井戸ICからは、高山経由で、中央・長野・国道158号・東海北陸自動車道で南砺までアクセスします。こちらは約6時間かかります。

飛行機

次に、飛行機でのアクセス方法です。ここでは、東京と北海道からの行き方をご紹介します。

羽田空港からは2つの方法があり、富山きときと空港に行く場合は、そこからレンタカーで南砺まで行きます。所要時間は約2時間です。

小松空港に行く場合も、レンタカーで南砺まで行きましょう。こちらは2時間20分ほどかかります。

北海道の新千歳空港からも、富山きときと空港まで行き、そこからレンタカーで南砺まで行きます。こちらの所要時間は約2時間30分です。

井波彫刻の歴史に触れてみよう

ここまで井波彫刻の歴史や特徴、作られ方、伝統工芸品、おすすめスポット、井波町へのアクセス方法などをご紹介しましたが、いかがでしたか?

井波は、井波彫刻だけでなく、他のものにも歴史がある町です。ぜひ、直接行って自分の目で歴史を感じてみてください。

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この記事のライター
Anne