カナダの公用語は「英語」と「フランス語」?使用地域や言語の特徴も調査!
語学留学先として人気のカナダは、英語とフランス語の2ヶ国語が公用語に定められています。カナダの公用語には、どのような特徴があるのでしょうか?今回はカナダの公用語の特徴や、英語・フランス語の各言語が使用されている地域をご紹介します。

目次
公用語が2つある国「カナダ」
旅行はもちろん語学留学先としても人気の国が、北米のカナダです。このカナダには公用語が2つあり、英語ではなくフランス語が公用語となっている地域もあるということをご存知でしょうか?本記事ではカナダの公用語、特に英語・フランス語それぞれの言語を使用する地域についてご紹介します。

カナダの公用語の特徴
まずは、カナダの公用語の特徴についてご紹介します。カナダは、公用語が2つ以上ある多言語国家のひとつに数えられています。多言語国家は、周辺国とのやり取りが多いヨーロッパや、多民族で構成される中国のような国家に多く見られますが、北米エリアで多言語が公用語となっている国家はカナダだけです。
カナダは2言語が公用語
多言語国家のカナダですが、公用語は英語とフランス語の2つです。カナダ全域で英語とフランス語の両方が話されているというわけではなく、地域によって英語が主流のエリアとフランス語が主流のエリアに分かれています。
英語とフランス語のどちらが主に話されているかは地域によって違いがありますが、カナダ政府は英語・フランス語の両方を公用語として平等に扱うように定めています。
カナダの公用語は「英語」と「フランス語」
カナダは英語圏というイメージが強い国ですが、フランス語も公用語となっています。だからと言ってカナダ人全員が英語・フランス語の2ヶ国語を操るバイリンガルだというわけではなく、地域によって英語またはフランス語いずれか1つの言語を使用しているのが一般的です。
ただし、政府の役人など英語・フランス語2国語のバイリンガルであることを求められる職業も一部にはあります。また、フランス語圏の若者は、就職が有利になる等の理由で近年は英語も堪能な傾向があります。
カナダの公用語は2言語ですが、さらに州ごとに公用語が定められているのも特徴です。例えば、ケベック州の公用語はフランス語、ニューブランズウィック州の公用語は英語とフランス語、それ以外の州の公用語は英語というように、州によって主となる言語が異なっているのです。
そのため、英語が公用語の州に滞在するようであれば、フランス語を使う機会はほとんどありません。カナダに行きたいけれどフランス語ができないという方でも、行き先が英語が公用語の地域であれば心配は要りません。
カナダの公用語が2言語の理由は?
それでは、なぜカナダでは英語とフランス語の2ヶ国語が公用語として使用されているのでしょうか?これは、もともとカナダがイギリス系移民とフランス系移民で構成されていたことから、双方に配慮して英語とフランス語が公用語になったと言われています。
現在のカナダが英語だけでなくフランス語も公用語になっている理由は、カナダの歴史をさかのぼるとより一層よくわかります。続いて、カナダの歴史について詳しくご紹介します。
フランス語がカナダの公用語になった歴史
カナダとフランス語との関わりは、カナダ建国以前にさかのぼります。カナダにヨーロッパ人が入植したのは、17世紀のこと。1603年にフランス人の探検家サミュエル・ド・シャンプランが現在のカナダ東部、セントフローレンス湾に到着し、1605年にはヨーロッパ人居住地を作りました。
17世紀から18世紀にかけて、フランス人は現在のケベック州を中心に、アメリカのルイジアナ州にあたる地域までを植民地としていました。
一方、フランスと同様にイギリス人も北米に入植し、植民地化を進めていました。フランス・イギリス両者は1763年に、七年戦争のひとつで北米エリアでの戦闘である「フレンチ・インディアン戦争」で激突し、イギリスが勝利を収めました。
これにより、北米地域でのフランス領はイギリスへと割譲されました。イギリス人は、フランス語を公用語としていた地域も英語を使用するように矯正するなど言語や文化もイギリス風に刷新していきました。現在カナダで英語を話す地域が多いのは、カナダがかつてイギリスの統治下にあったという背景によるものなのです。
一方でイギリスは、フランス人居住地がありフランス系移民が多いケベックなど一部の地域に関しては、特例としてフランス語およびフランス文化を守ることを法律で定めました。そのため、現在もカナダでフランス語が話されている地域は、この当時にフランス語を許されたケベック州など一部の地域に限られているのです。
カナダは地域によって公用語は違う?
カナダの公用語の特徴は、地域や都市によって英語圏とフランス語圏に分かれていることです。まずは、カナダのフランス語地域として特に有名なケベック州と、もう一つはニューブランズウィック州、カナダ国内で唯一英語とフランス語が同等の比率で使用されている州についてご紹介します。
ケベック州の公用語
ケベック州はかつてフランス系移民の居住地があったエリアで、現在もカナダで唯一フランス語のみを公用語としている地域です。ケベック州最大の都市であるモントリオールこそ、英語とフランス語が半々くらいの割合で話されていますが、ケベック州のモントリオール以外の地域ではフランス語が優位です。
ケベック州はフランス語が公用語なので英語を勉強したい方の留学先としてはあまりおすすめできませんが、カナダへフランス語留学したいという方や英語もフランス語も使ってみたいと考えている方には、ケベック州は非常におすすめの地域です。
ケベック州にあるフランス語の語学学校には、カナダの英語圏に住んでいる方が来るケースが多いので、ケベック州への留学でフランス語はもちろん英語の語学力もアップしそうです。
ただし、ケベック州のフランス語はフランス本国で話されている標準フランス語とは異なる点が多々あります。そのため、教科書どおりの標準フランス語を勉強したいという方は、ケベック州への語学留学には注意が必要です。
それでは、標準フランス語とケベック州のフランス語はどのような違いがあるのでしょうか?続いては、ケベック州のフランス語についてご紹介します。
ケベック州のフランス語の特徴
カナダきってのフランス語圏であるケベック州ですが、ケベック州で話されているフランス語は独自の表現などの特徴があり、「ケベコワ」「ケベック語」と呼ばれることもあります。ケベック州のフランス語は、本国フランスのフランス語とは異なる点が多く、あまりの違いに驚くフランス人も多いそうです。
ケベック州のフランス語の特徴は、英語から影響を受けた表現が多いことが挙げられます。例えば、「おはよう」は標準フランス語では「Bonjour(ボンジュール)」ですが、ケベックでは「Bon matin(ボンマタン)」と表現します。
ケベック州の朝のあいさつ「Bon matin」は、フランス語で「良い」という意味のBonと、「朝」という意味のmatinという2つの単語から成っています。これは、英語の「Good morning」をフランス語に直訳した表現だと考えられており、英語との関わりが深いカナダならではのフランス語表現だと言えます。
また、ケベックのフランス語には、現代フランス語にはない発音や古い言い回しが残っていることも特徴です。
カナダに入植したフランス人はノルマンディーなどの地方出身者が多かったため、ケベックにフランス人が移住を始めた当初から訛りがあるフランス語話者が多かったようです。ケベックのフランス語が標準フランス語と異なるのは、このような背景があると考えられています。
さらにケベックのフランス語には、フランス革命ごろの古いフランス語の語形や発音が残されている点も特徴です。そのため、現代フランス語に慣れている人はケベックのフランス語は古くさく感じることがあるそうですが、フランスの古語やフランス史に興味がある方には非常に興味深いのではないのでしょうか。
ニューブランズウィック州の公用語
カナダ東部、大西洋に面するニューブランズウィック州は、カナダで唯一、英語とフランス語の両方を公用語としている州です。ただ、ニューブランズウィック州の中でも英語話者が多い地域とフランス語話者が多い地域に分かれているので、すべての街で英語とフランス語が半々で使われているというわけではありません。
現在ニューブランズウィック州がある地域は、かつてフランス領ヌーベル・フランスとイギリス領ニューイングランドの間に位置していました。当時から、この付近はフランス系移民が多く住む「アカディー」と呼ばれており、現在もアカディー方言としてフランスの古語や古い言い回しを残しているという特徴があります。
1755年にフレンチ・インディアン戦争でイギリス軍が勝利すると、イギリス側はアカディーの人々にフランス語やフランス文化を捨ててイギリスへ絶対服従するように命じました。従わない者は家を焼き討ちにされるなど、現代では考えられないような仕打ちも行われたそうです。
そのため、ニューブランズウィック州に住む年配の方は、現在も英語や英語を母国語とする人に反感を持つ方が多くいると言われています。
ニューブランズウィック州は、その歴史的背景からアカディー人独自のアイデンティティを確立しています。同じフランス系カナダ人でありながら、ケベックの人々とは異なる文化を持っていることが特徴です。
カナダのトロントの公用語
続いて、留学先としても人気の都市・トロントの公用語についてご紹介します。トロントの公用語は、英語です。トロントには国外からの移民が多く、「人種のモザイク」と言われるほど様々な人種の人が住んでいます。
そのため、トロントの人々は訛りのある英語にも寛容です。英語の発音やアクセントに自信がないという方でも、トロントではどんどん英語で話しかけてみてください。
英語が公用語のトロントには、当然ながら日本語での案内などはありません。しかし、トロントに留学する日本人は多く、トロントを歩いていると日本人留学生に遭遇する機会がよくあります。現地で困った時には、日本語が通じる日本人留学生に助けを求めるのがおすすめです。
フランス語はほとんど使われていない
英語が公用語のトロントでは、ほとんどフランス語は話されていません。そのため、フランス語ができなくてもトロントで困ることはほとんどないと言えます。英会話はできるけれどフランス語は話せないという方や、様々な人種が集まる場所に滞在してみたいという方に、トロントはおすすめの都市です。
トロントがあるオンタリオ州の言語事情
トロントは英語が公用語の都市ですが、トロントがあるオンタリオ州はフランス語話者が比較的多い州だと言われています。特に、オンタリオ州にあるカナダの首都オタワは、ケベック州に隣接していることもあり、ケベック州以外の都市で最もフランス語話者が多い街です。
カナダで2言語が使われる身近な瞬間
公用語が英語とフランス語の2種類あるものの、実際には地域ごとに英語圏とフランス語圏に分かれているカナダでは、あまり二言語が公用語だという実感は得づらいかもしれません。最後に、カナダ在住経験のある方に、公用語が二言語あるということを実感したという瞬間をお聞きしました。
商品のラベルが二言語
まず、最も身近にカナダが二言語が公用語だと実感できるのが、商品のラベルです。カナダでは、食品から家電まで、ありとあらゆる商品に英語・フランス語両方の記述があります。
これはカナダ国内で製造された商品に限らず、日本をはじめとした外国製の商品をカナダに輸出する際にも、英語・フランス語両方の表記が必要となっています。
商品に英語・フランス語両方のラベルを付けるというのは、法律によって定められています。これは、英語が公用語とされている地域の中にも一部フランス語系の住民がいることに配慮したものだと言われています。
税金など公用の書類が二言語
カナダでは英語とフランス語が公用語となっていることから、税金関係などの公文書は英語・フランス語の両方で作成されます。そのため連邦政府の役人は英語・フランス語のバイリンガルであることが求められますが、一般の人々は英語またはフランス語どちらの言語で公文書を発行するかを選ぶことができます。
基本的には希望した言語で公文書が発行されますが、中には英語での発行を希望していたのに役所の登録ミスでフランス語で公文書が発行されてしまったというケースもあるそうです。
英語を公用語とする地域ではフランス語が必要になることはほとんどありませんが、このように突然フランス語が必要になる場合もあるので、フランス語が堪能な友人をつくっておくと安心です。
留学先の地域や公用語を調べておこう
いかがでしたか。カナダは地域によって公用語が英語とフランス語に分かれているという特徴があります。トロントやモントリオールなどの大都市では主に英語が話されてはいますが、カナダに語学留学をしたいという方は、ぜひご自身が勉強したい言語を公用語にしている地域を選ぶようにしてください。
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