2020年04月03日公開
2020年04月03日更新
マラカイボ湖カタトゥンボの雷は大自然の驚異!超常現象の秘密を徹底解明!
ベネズエラのマラカイボ湖は、カタトゥンボの雷と呼ばれる驚異の超常現象で人気のスポットです。世界で最も雷が多く、1分間に最大28回もの落雷を体験できるおすすめの観光地でもあります。今回はそんなマラカイボ湖のカタトゥンボの雷の秘密について徹底解明します。

目次
マラカイボ湖のカタトゥンボの雷を解説
ベネズエラは南米の北部に位置するカリブ海沿岸の国です。カリブ海に浮かぶ美しい島々は、カリブ海の中でも最も美しい海が見えることから、人気のリゾート地としてもおすすめです。
そんなベネズエラは、手つかずの大自然の宝庫としても知られています。エンジェルフォールの名を持つ世界最大級の滝は、1994年にユネスコの世界遺産に登録されたカナイマ国立公園にありますし、最高峰のテーブルマウンテンは、はるか昔に激しい雨で削りだされて作られたといわれています。
そして、ベネズエラ最大にして南米大陸最大でも湖がマラカイボ湖です。このマラカイボ湖、その大きさで名を馳せているのではありません。このあたり一帯が世界最多の雷発生地帯として有名なのです。
ベネズエラの驚異的な自然現象
マラカイボ湖は、ベネズエラ北西部に位置します。コロンビアとの国境に近く、水路によってベネズエラ湾、カリブ海、そして大西洋へとつながっています。
このマラカイボ湖のあたりは、大航海時代のころから自然の灯台が海難を救っていたといいます。その自然の灯台こそ、カタトゥンボの雷なのです。
カタトゥンボとは、マラカイボ湖に注ぐ川のことで、この川の河口上空だけで雷が発生します。その雷の発生数は尋常ではなく、世界最多でギネスにも認定されているほどです。今回は、そんなベネズエラのマラカイボ湖の不思議な自然現象であるカタトゥンボの雷についてご紹介します。
マラカイボ湖の落雷「カタトゥンボの雷」
ベネズエラの北西部にあるマラカイボ湖。この南西の湖畔に向かってコロンビア北部から流れているのがカタトゥンボ川です。つまり、カタトゥンボの雷とは、カタトゥンボ川がマラカイボ湖に注ぐ河口あたりの上空で見られる不思議な雷であることからそう呼ばれるようになりました。
このカタトゥンボの雷は、マラカイボの灯台と呼ばれるように、闇夜を引き裂くように発光し、灯台のない湖畔を照らし、漁業や航海の安全を見守っています。
しかも、このカタトゥンボの雷は、雷特有の音がなく、まるで光のイリュージョンさながらの不可思議な超常現象を呈しているのです。
マラカイボ湖のカタトゥンボの雷
マラカイボ湖のカタトゥンボの雷は、年間を通して発生します。逆にいえば、発生しないほうが非常事態で、カタトゥンボの落雷がないと、住民は不安になってしまいます。
というのも、かつて落雷が起こらなくなったとき、近くで大きな地震が発生し、津波が起こったことがありました。このため、10年ほど前、100年ぶりに落雷が観測されなかったとき、住民は不安になりました。しかし、それから1カ月半ほど経った後、いつものように落雷が起こったため、平穏が訪れたのだとか。
これほど頻繁に落雷が起こるカタトゥンボの雷のおかげで、マラカイボ湖はこの大自然の驚異を見学するために多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。
稲妻世界最多でギネスに認定
頻繁に起こるカタトゥンボの雷。どれほどの頻度で落雷が起こるのかというと、年間平均260日、干ばつがひどいときは発生しにくいものの、発生しやすいのは10月~11月ごろ、時間帯は19時以降、明け方の5時ごろまでに発生されやすいとマラカイボの研究開発センターが発表しています。
こうしたさまざまな研究から、世界でも最も雷が多い場所としてギネスブックに登録されているほか、1平方kmの範囲で最も雷が起きる場所としても登録されています。
マラカイボ湖に雷が落ち続ける理由とは
ベネズエラのマラカイボ湖で発生するカタトゥンボの雷。ギネスブックにも登録されているほどの雷がなぜ落ち続けるのか、長いこと科学の謎とされていたそのメカニズムが少しずつ解明されてきました。というのも、さまざまな研究者たちが、カタトゥンボの雷が起こるとき、ある一定の条件がそろっていることに気づいたのです。
雷が発生するメカニズム
マラカイボ湖のカタトゥンボの雷は、ほかの場所でも起こる雷と同じ普通の現象です。つまり、雲の中に静電気が溜まっていく中で、溜められなくなってしまった電気を逃がそうとすることによって、雷が発生するというメカニズムです。
しかし、カタトゥンボの雷は、なぜこのマラカイボ湖という同じ場所で何度も雷が起こるのかが謎でした。この謎を解くために、研究者たちはその地形に着目しました。そしてその地形によって生じる自然現象に何か鍵があるのではないかと考えたのです。
カタトゥンボの雷が発生する原因(1)地形
マラカイボ湖のカタトゥンボの雷が発生する原因として、これまでさまざまな仮説が立てられてきましたが、現在ではマラカイボ湖がある地形に原因があるとされています。
マラカイボ湖の周囲を見渡すと、まるでマラカイボ湖を取り囲むかのように、西側にはシエラ・デ・ペリハ国立公園、東側から南側にはエル・タマ国立公園が位置します。
この地形的な特徴は、北側のカリブ海から流れて温かい風をせき止め、山からの冷たい空気とぶつかることで、雷雲を生む仕組みとなっているため、この地形こそがカタトゥンボの雷を生んでいると考えられるのです。
マラカイボ湖の地表面の形
一般に、落雷が多く観察される場所は、山脈の近くであったり、曲がりくねった海岸線であったり、風が吹き荒れるような場所であったりします。マラカイボ湖の地形は、3方に大きな山脈を構え、北側から入り込むカリブ海の温かい風と山からの冷たい空気がかんたんにぶつかることができるのです。
この地形の特徴は、雷が同じ場所に落ちることはないという定説を覆します。つまり、この地形のおかげで、雷が落ちやすいようになっているのです。
カタトゥンボの雷が発生する原因(2)雷雲
雷とは、大気で正と負の電荷分離が起こり、電荷が貯えきれなくなって放電する現象です。この電荷分離は、雲の中であられや氷の粒などの摩擦によって起こります。こうしたあられや氷の粒は、湿った空気が上昇し、上空の低い温度の層にまで到達すると大量に発生します。
この雷雲の発生に一役買っているのが風です。マラカイボ湖の周辺では、大きな山脈によって三方向を囲まれている中に、カリブ海からの温かい空気が入り込みやすくなっています。つまり、マラカイボ湖には雷ができやすい条件が整っているといえるのです。
雷雲を作る風
マラカイボ湖の北側は水路によってベネズエラ湾、カリブ海、大西洋とつながっています。この海風は実に湿気が高く、さらに、ベネズエラは一年を通して暑い熱帯の地であるため、雷雲が発生する条件、つまり、温かく湿った空気はいつでもそろっています。
さらに、この温かい空気は、山からの空気とぶつかりやすいため、上昇しやすくなっています。こうしたあらゆる条件が、カタトゥンボの雷を生むための条件と重なり、あの超常現象を生み出しているのです。
マラカイボ湖のカタトゥンボの雷と共生する理由とは
毎晩、闇夜を引き裂くカタトゥンボの雷。かつて、日本の野球球団である読売ジャイアンツで活躍していたGGこと、ジェレミー・ゴンザレス氏が、カタトゥンボの雷による落雷を受けて死亡したというニュースがありましたが、そんな危険もはらんでいる存在でもあります。
しかし、そこには住民が暮らし、危険と隣り合わせでありながらも、その恩恵を受けて生活しているのです。それはいったいなぜなのでしょうか。
マラカイボ湖の恩恵①油田
マラカイボ湖といえば油田地帯として有名です。つまり、この湖では原油が採れるため、元来であれば石油の開発により、経済活動が豊かになっています。ベネズエラには、さまざまな問題があるため、経済は不安定となっていますが、マラカイボ湖の恩恵は、油田地帯であることからも明白です。
マラカイボ湖の恩恵②漁業
マラカイボ湖の周辺には、漁業を営む小さな漁村があります。この漁村は、海とつながっているマラカイボ湖での漁業が盛んで、村の男性のほとんどが漁師です。つまり、マラカイボ湖の恩恵は湖そのもので、さらにカタトゥンボの雷によって大漁となるため、人々の生活を支える大きな手段となっているのです。
なぜカタトゥンボの雷によって魚が獲れやすくなるのでしょうか。一説によりますと、雷光によって魚がパニックなり、網にかかりやすくなるのではないかと考えられているのだとか。
落雷の被害に遭うかもしれないという危険を冒しても漁を続けるのは、この雷光による大漁の恩恵を受けるためでもあるのです。
マラカイボ湖の恩恵③観光
マラカイボ湖は、雷好きの観光旅行者や超常現象好きの観光旅行者の人気スポットです。このため、マラカイボ湖は観光地としても大きな恩恵を受けています。
マラカイボ湖は、ベネズエラの第2の年であるスリア州のマラカイボからアクセスします。マラカイボはマラカイボ湖の北西に位置しますが、マラカイボ湖まではマラカイボから車で30分ほどです。マラカイボ湖は、湖というよりも海のように大きく、南北は160㎞も離れています。
カタトゥンボの雷を見学するツアーは、各旅行会社で催行されています。最も多いのが湖のそばにあるメリダという町からマラカイボ湖畔の高床式の家で宿泊し、夜になったら雷を見学しに出かけるというツアーですので、ぜひチェックしてみましょう。
マラカイボ湖はベネズエラの人気観光スポット
マラカイボ湖の観光には、カタトゥンボの雷を見学するツアー以外にも多くの人気観光スポットがあります。カタトゥンボの雷を見学するためにベネズエラ西部を訪れようと考えてらっしゃるのであれば、こうした魅力的な観光スポットを貪欲に見学するのがおすすめです。ほかにはないここだけの風景や楽しみ方を見つけられるはずです。
観光地スポットとしてもおすすめのマラカイボ湖
マラカイボ湖の観光の拠点となる町、マラカイボ。おすすめの観光スポットには、カトリックの国であることから多くのカテドラルや教会、カリブ海への入口であることから美しい橋の風景や海辺のスポットなど、さまざまな人気の見どころがあります。この町を拠点にして、さっそくマラカイボ湖周辺の散策を開始しましょう。
チキンキラの聖母聖堂
この教会に祀られている聖母チキンキラ。市民からはチニータという愛称で呼ばれ、とても親しまれている人気の教会です。この聖母は、マラカイボを見守る守護聖人で、マラカイボ湖で拾われた木片が虹色に光輝いたという奇跡の話が伝わっています。教会にはその様子が描かれた絵が飾られています。
ラファエル・ウルダネタ橋
この橋は、マラカイボ湖の北部、ベネズエラ湾に通じる入口にかかる橋です。橋の名前は、独立戦争時の英雄であったラファエル・ウルダネタの名にちなんでつけられました。この橋は車両の実が通行可能となっているため、橋を歩いて渡ることはできませんが。橋のかかった姿はおすすめです。
ちなみに、この橋を設計したのはイタリア人のリカルド・モランディ氏で、彼が設計した橋が2018年にイタリア北部のジェノバで崩落事故があったことから、この双子の橋の安全性が懸念されています。
とはいえ、全長8600m以上もあるこの橋は、建造当時、世界最長のコンクリート橋脚の橋として名を馳せました。一見の価値ありの人気のおすすめスポットです。
青い教会
マラカイボでおすすめしたい人気の青い色の教会はふたつあります。そのひとつは、ゴシック様式のとても美しいサンタルシア教会です。このあたりには植民地時代の様式の家並みが続いています。色とりどりの家があるので、とてもかわいらしい印象を受けるはずです。
さらに青い色がひときわ目立つ協会がサンタ・バーバラ教会です。このあたりにはさまざまな教会が点在しますが、その美しい塔を構えたこの教会も、その美しい青に吸い込まれるはず。ぜひ足を延ばしてほしいおすすめの教会です。
カラボボ通り
植民地時代の家が並ぶ旧市街のカラボボ通り。色とりどりのカラフルな家並みが続くフォトジェニックで人気のおすすめスポットで、飲食店やショップなどが並びます。お土産などを販売する店も点在するため、ここで何か記念のひとつが見つかるはず。ぜひ足を延ばして異国情緒あふれる通りを写真に収めましょう。
サンカルロス・デ・ラ・バラ要塞
ベネズエラ湾からマラカイボ湖へと通じる入口に伸びる岬に立つサンカルロス・デ・ラ・バラ要塞。17世紀に建てられた星形の要塞で、この要塞が建てられる以前は、海賊などによって何度か攻撃されていたのだとか。
サンカルロス・デ・ラ・バラ要塞が建設されてからも海賊による侵入を防御し、町や人々を守りました。また、この要塞は、刑務所としても機能していて、ベネズエラのジャーナリストであり詩人でもあるエドアルド・ロペス・ブスタマンテが牢獄されていたことでも知られています。
現在ではとても景色がよく美しい要塞跡として人気の観光スポットでもあります。足を延ばしてさまざまな風景を楽しみたい方にぜひおすすめです。

マラカイボ湖へカタトゥンボの雷を見に行こう
ベネズエラ西部に位置するマラカイボ湖。ギネスブックにも登録されている超常現象であるカタトゥンボの雷が見学できるすばらしい観光スポットです。ほかにもおすすめの観光箇所がたくさんありますので、ぜひ雷見学をしながらカリブ海の自然豊かな国を存分に楽しみましょう。まちがいなく忘れられない旅になるはずです。