ウェールズ語と英語の違いは?発音の特徴や旅行中に使えるフレーズ紹介!

アーサー王伝説の舞台として壮大な世界観と神秘の大自然を誇るウェールズ地方、トールキンの映画を始めダークファンタジーで使われるエルフ語や文化の見直しを図るリバイバルによりウェールズ語が再び学ばれています。実は知っている様で知らないウェールズ語の魅力に迫ります。

ウェールズ語と英語の違いは?発音の特徴や旅行中に使えるフレーズ紹介!のイメージ

目次

  1. 1これからウェールズ語を始める人に
  2. 2イギリス南西部にあるウェールズ地方
  3. 3ケルト文化圏の国ウェールズ
  4. 4ウェールズ語の歴史を解説
  5. 5ウェールズ語の特徴
  6. 6旅行に使えるウェールズ語の基本フレーズ
  7. 7ウェールズ語の勉強におすすめの教材
  8. 8ウェールズ語であいさつをしてみよう

これからウェールズ語を始める人に

エンターテイメント施設やショッピング、グルメを満喫するのであれば英語圏であるアメリカやイギリスの大都市を旅行先に選ぶ方も多いでしょう。しかし神秘の大自然に包まれた地方都市でケルトの美術や音楽、文学や歴史ロマンに触れたい方にはウェールズがおすすめです。今回は旅行中に役立つフレーズと合わせあいさつも学んでいきましょう。

イギリス南西部にあるウェールズ地方

ご存知の通り「グレートブリテン島」は、北に位置するスコットランドと南に位置するイングランド、南西に位置するウェールズから構成されています。

首都ダブリンのあるアイルランドは「アイルランド共和国」となっている為イングランドとスコットランド、ウェールズと北アイルランドの4つの国がイギリスを構成しています。

イングランドの西にはマン島や北アイルランドが存在し、ウェールズの西にはエメラルドの都に代表されるアイルランド島が存在します。

ダブリンやエディンバラ、ロンドンなどの大都市から少し離れると国立公園や森林、自然のまま残された美しい湖、古城や遺跡、田園風景の広がる本物の大自然と出会えるのが魅力であり特徴です。

赤いドラゴンの国旗に象徴されるウェールズは、山脈や壮大な城の数も多い国として知られ、侵略者との戦いに長い間明け暮れていた歴史を物語っています。

ウェールズは、ハロウィンの起源である「ドルイド」や「ペーガン」を中心とするアニミズム(精霊信仰)的考え方が根付いている地でもあり妖精や魔法、騎士やドラゴンなどの幻想的な神話や民話を今に受け継いでいます。

ウェールズ人の祖先は「ケルト系のブリトン人」、ノルマン人やサクソン人が侵略してくる前からブリテン島に住んでいた先住民族です。

彼らは大地の精霊や自然の中にも精霊や霊魂が存在していると信じ、ケルト語の1種である不思議な音や発音の存在する最古の言語、ウェールズ語を話します。

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ケルト文化圏の国ウェールズ

ケルト人とはインド・ヨーロッパ語群に属し、ケルト語を共通としていた部族集団、古代ヨーロッパのドナウ川上流と下流域に住んでいたとされています。

彼らはもともと中央アジアの草原から、中国で使用されていた戦闘用の乗り物であるチャリオットと馬車で、ヨーロッパまで渡来してきた人々です。

ケルト人という呼び名は、ギリシャ人達が異民族を呼ぶ際に使っていた「ケルトイ」に由来しますが、一方でローマ人達は彼らの事を「ガリイ」と呼んでいました。

大陸に渡ってきたこのケルト人達によって「ブリテン諸島のケルト語」が伝えられた後、ブリソン語に枝分かれし、ウェールズ語として独自の進化をとげていきました。

ゲール語はアイルランド語へと発展し、マン島やスコットランドのゲール語に枝分かれしています。ブリソン語からはブルトン語やコーンウォール語、ウェールズ語が生まれています。

ケルト人達は、記憶力の訓練をないがしろにしないため、教えや教育を文字で記録するという事をほとんどしませんでした。

その代わり、動植物をモチーフとして描かれたアールヌーボーやリバティ柄に見られる複雑に入り組んだ「組紐模様」を使用した装飾文字や美術が多く残されています。

特にアイルランドのトリニティカレッジなどで見られる世界最古の書物「ケルズの書」に描かれた、彼らが生み出したアンシャル書体の色彩装飾は見事です。

ウェールズ語の歴史を解説

ケルト語の1種としてご紹介したウェールズ語は、私達に馴染みのある英語とは文法も単語も発音も異なった特徴を持つ興味深い言語です。

ウェールズ語はコーンウォール語やフランスのブルターニュ地方のブリトン語と同様、「Pケルト語」として認知されている言語になっています。

もう1つのケルト語は「Qケルト語」と呼ばれ、アイルランドやスコットランドのゲール語、マン島のマン語がこれにあたります。

中世では、ウェールズ語訳の新約聖書が出版され教会でも頻繁にウェールズ語が使用されていましたが、19世紀の産業革命以降ウェールズ南部にイギリスから労働者が流入しウェールズ語を話す人も徐々に英語を使う様になりました。

1847年より後に設立された小学校教育は全て英語で実施される様になり、ウェールズ語を話す人々の割合も人口の54%にまで落ち込んでいます。

労働者の流入が比較的少なかった北部や西部出身者の人は現在でもウェールズ語を話しますが、学問としての関心は高まりつつも日常でなかなか使用されない言語のため1980年になると話者の数は19%となってしまいます。

しかし1983年になるとウェールズからロックバンドが登場、ウェールズ語委員会の後押しもありウェールズ語に再び関心が集まります。

1993年にはウェールズ語が英語と同等の公用語として英国政府に認められる様になり、2015年には話者も23%にまで回復、現在では15歳以下の年齢層にもウェールズ語を話す人が多く見られます。

ウェールズ語の特徴

若い年齢層の言語や音楽に対する興味関心、周囲のサポートによりめでたく絶滅危機言語を脱したウェールズ語ですが一体どんな発音や特徴を持っている言語なのかとても気になるところです。

出張や旅行でウェールズを訪れた際に困らないよう、ウェールズ語の発音や特徴、初心者にも分かり易い基本フレーズや旅行先ですぐ使えるフレーズ、地元の人達が使用するあいさつなどを確認して行きましょう。

発音

ウェールズ語の子音の発音には、英語とドイツ語に似たものが使われています。例えばアルファベットのb、d、g、h、i、m、n、p、sは英語をそのまま発音した時と同じ音を使います。

母音であるa、e、i、oの発音には、短めか長めに発音するものと、常に長めの発音をするもの2つが存在します。常に長めの発音をするものは「to bach Circumflex 」と呼ばれ「â」と上に印がついた形で表記されます。

また、ウェールズの南部では母音「i」がそのまま発音されるのに対し、北部では少し舌を巻いたように「u」と訛った発音をします。

母音wの音にも同じように特徴があり、短い発音をするwは「o」と発音し長いwの音の場合「u」に近い「o」で発音します。

また、単語の後ろの方ではなく単語の始まりか中心あたりにyが来た場合「i」ではなく「a」と発音されます。

ケルト語の音には、英語やドイツ語に見られるはっきりとした音とは違う、アイスランド語やスウェーデン語にも近い滑らかで柔らかい音が使われています。

ウェールズ語と英語の違い

それでは英語やドイツ語、オランダ語やスウェーデン語を始めとするゲルマン語派に属する言語とウェールズ語の違いや特徴をもう少し詳しく見て行きましょう。

英語の教科書などで一般的に見られる英文の多くが、S(主語)+V(動詞)+O(目的語)の語順で構成されています。

それに対しケルト語の特徴は、V(動詞)+S(主語)+O(目的語)の語順が一般的だということ、ヘブライ語やアラビア語にも見られる前置詞と人称代名詞が合わさった「屈折前置詞」(inflected preposition)が存在します。

そしてドイツ語やフランス語同様、名詞には男性か女性かの「性」も存在します。また数を表す時には複数と単数だけでなく「双数」という変化形があります。

英語のアルファベットは全部で26文字存在しますが、ウェールズ語は29文字、K、Q、V、Zなどがない代わりに2つのアルファベットがくっつき1文字になっている二重母音も存在します。

旅行に使えるウェールズ語の基本フレーズ

ウェールズ語の特徴や英語とウェールズ語の違いについて把握できたところで、いよいよここから実際に旅行に使えるウェールズ語の簡単なあいさつや基本フレーズに触れて行きましょう。

まず、旅行のあいさつに欠かせないSHMAE(シュマエ)「やあ」、PRYNHAWN DA(プラィンハウンダ)は「こんにちは」、BORE(ボーラ)は「おはよう/朝」、BORE DA(ボレダ)は「おはようございます」になります。

別れのあいさつは、HWYL(ポリル)「さよなら/じゃあね」、DW I(ドゥ  イ)は「私は」になるので自己紹介であるbe動詞文のスレーズを使う際DW Iの前、文の1番先頭に自分の名前を置きます。

DIOLCH(ディーオルク)は「ありがとう」、SUT DYCH CHI(スットゥディハリ)は「元気/調子どうですか」?DA IAWN DIOLCH(ダヤウンディーオルク)は「とても良いです、ありがとう」になります。

旅行先で目的地へ向かうとき「〜へ行く」のように文に動詞が入るスレーズは、DW I'N MYND I(ドゥイーンミンディー)「私は〜へ行きます/向かいます」の後、文の最後に目的地の名詞を置きます。

DW I EISIAU YFED(ドゥ イエイシャヤ イベント)は「私は〜が飲みたい」DW I EISIAU BWYTA(ドゥ イエイシャヤ ブイタ)は「私は〜が食べたい」というフレーズになるので文の最後にCOFFI(珈琲)、TE(紅茶)、BARA(パン)などの名詞を置きます。

ウェールズの南部では牛乳をLLAETH(ヒャイス)と発音しますが、北部ではLLEFRITH(ヒャブリス)と発音し名詞の発音の仕方やスペル、あいさつも地域により多少異なります。

また、How are you?やI amなどの簡単なあいさつからフレーズに至るまで、外国人学習者向けの人工的なものから古風な言い回し、標準語に近いものまで様々なバリエーションと表現が存在するのもウェールズ語の特徴です。

その他、旅先で何か頼みたいフレーズとしてOs gwelwch yn dda(オスゲルークウンター)「お願いします」、道を尋ねる時などはEsgusodwch fi(エスギスソドゥスフィ)「すみません」などと声をかけます。

電車や地下鉄の駅、空港では、MYNEDFA(入り口)、ALLANFA(出口)、 DIM MYNEDIAD(禁止)の表示を目にすることもあるでしょう。

ウェールズ地方へ旅行をすると、路上や公共施設でウェールズ語と英語2つの言語が使用された表記を目にしますが、この2言語に精通していると仕事をする時に優遇されるそうです。

仮に旅行先で誰かとあいさつを交わした際、Tdych chi'n siarad Cymraeg(ダハリンシャライジカムライグ)?「あなたはウェールズ語を話しますか」と聞かれたとします。

そんな時は、Oes(オイス)「はい」やNac oes(ナゴイス)「いいえ」と答えても良いでしょう。

しかし旅行先で現地の方と会話を通し独自の文化や様々なフレーズを身につけたい場合Dwi'n dysgu Cymraeg(ドゥインダスキカムライグ)「勉強中です」と答え会話を広げてみるのも良いでしょう。
 

途中会話の中で聞き覚えのないフレーズやあいさつが登場したらMae'n ddrwg gen i, dwy ddim yn deall(マインドゥルゲニドゥイダメンディア)「ごめんなさい、理解できていません」と一言言い英語やジェスチャーに変えて貰えば良いだけです。

相手の言った事が早くて上手く聞き取れなかった場合丁寧なフレーズとしてFedrech chi ddeud hynny eto?「もう一度言っていただけますか」も使えます。

ウェールズ語の勉強におすすめの教材

ここまでウェールズ語の特徴や旅先で使えるフレーズ、あいさつの仕方や南部・北部とで異なる発音やスペルを見てきました。

ウェールズ語は、中国語や英語、ヒンドゥー語やスペイン語、アラビア語などと比べると動画や書籍を始め数ある中から厳選されたアプリや、オンライン辞書を入手するという事が困難な少数言語です。

ウェールズ語の勉強におすすめの動画

独学を強いられてしまう場面もあるかと思いますが、ここでは初心者の方が出来る限り楽しめるようなおすすめの媒体をご紹介していきます。

まずは、完全無料で言語学習をゲーム感覚で楽しめるアプリ「デュオリンゴ」や、ネイティブに直接質問したり文章の修正が好きな時に何度でも受け取る事のできるアプリ「ハイネイティブ」などがあります。

次にYou tubeの動画としておすすめなのは、街角で実際に現地の人に様々なインタビューをする「Easy Welsh」(イージーウェルシュ)(英語字幕付き)です。

自然な会話や表現の他、ウェールズ語の発音をじっくり学習したい方には「Welsh lessons - Beginner」(ウェルシュレッスンズビギナー)の動画がおすすめです。

アルファベットから学習したい方は「Welsh Plus - Learn Welsh With Us」(ウェルシュプラス)、動詞や名詞に力を入れたい方は「Beginner Welsh Lessons for Children」(ビギナーウェルシュレッスンズフォーチルドレン)がおすすめです。

ウェールズ語の勉強におすすめの書籍

おすすめの書籍としては単語学習に不可欠な辞書「Modern Welsh Dictionary」と、初級者用文法書の「Basic Welsh」(Gareth King)です。

中級者用の方には「Intermediate Welsh」(Gareth King)がおすすめです。これら2つのウェールズ語文法書には解説の他練習問題も付いていて、繰り返し学習しやすい本です。

ウェールズ語であいさつをしてみよう

ウェールズ語の歴史やウェールズ語のフレーズやあいさつ、ウェールズ語の勉強におすすめの媒体をご紹介してきました。ケルト文化の色濃く残るこの地には、驚きや感動も多く詩人や文学者達の想像力をかきたてた多くのものが発見出来るでしょう。学習したウェールズ語のあいさつを早速使い、異文化交流を堪能して見てください。

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この記事のライター
Weiße Krähe

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