北京・大運河で観光やクルーズ!中国の有名世界遺産の歴史や見所も調査!
北京から杭州を結ぶ「京杭大運河」は、長さ1800キロにも及びます。運河自体も世界遺産になっていますが、長い沿岸にはたくさんの世界遺産や観光のスポットがあります。今回は壮大な中国の「大運河」のあらましや見どころをご紹介します。

目次
大運河は中国の大動脈
1000年以上前に造られた中国の「大運河」は、今でも立派に機能して人々の生活に役立っています。1800キロメートル近い長さをもつ大運河は多くの省を通り、沿岸には有名な観光スポットや世界遺産が数々あります。また、クルーズそのものを楽しむ観光もできます。今回は中国の大運河を観光するヒントをお届けします。
中国の「大運河」とは
中国の「大運河」は、北京から杭州までを結んでいるので「京杭大運河」として知られています。全長は1794キロメートル、日本でいうと北海道から沖縄までの距離の3分の2の長さに相当します。
これはパナマ運河の21倍、スエズ運河の10倍ほどの長さになります。はるか昔にこのような歴史的大事業が成されたことに驚きを禁じえません。
このように長大な「大運河」は北京、天津の他、4つの省を通り、長江や黄河など5つの大河とつながっています。沿岸およびその近郊にはたくさんの観光スポットや世界遺産があるのですが、「大運河」そのものも世界遺産に登録されています。ただし、世界遺産になっているのは全長の56パーセントほどの長さで、31の構成要素に分かれています。
大運河建設の歴史
中国の大運河を完成させたのは、歴史上名高い隋の時代の皇帝である煬帝です。完成したのは610年といいますから、1500年以上も前になります。中国の大河は西から東に流れ、南北をつなぐ水路がありませんでした。それまで地域的、部分的に掘られた水路はありましたが、煬帝は国をあげての大事業でそれらを結んで「大運河」を造ったのです。
船が通れるだけの深さと幅をもった運河の建設は、掘るだけでなく、土の運び出しや護岸工事なども含め、人力に頼っていた1500年前はいかに大工事だったか容易に想像がつきます。
多くの人民が工事に駆り出され、過酷な労働で亡くなる人も多くいたといいます。完成後は不満が爆発し、各地で反乱が起こって隋王朝が倒れてしまったほどです。
このような歴史をもっている「大運河」ですが、人や物の往来を助け、国の経済や文化の発展に大いに寄与しました。今でも当時の運河の大部分が使われていて、人々の生活を助けています。また、近年では観光資源にもなっていて、運河を使ったクルーズなどが催行されて世界中からの観光客が長い歴史をもつ運河の恩恵にあずかっています。
大運河観光の見どころ1:紫禁城
「大運河」の始まりは北京です。日本からの便の多い北京市内の観光から始める方も多いことでしょう。北京の見どころで外せないのは「故宮」と呼ばれることもある「紫禁城」です。言わずと知れた明、清王朝の王宮で、世界遺産にもなっている世界最大級の木造建築群です。「紫禁城」は広大で、主なスポットを見るだけでも3、4時間はかかります。
「紫禁城」の正式名称は「故宮博物院」。敷地内の建物など全てが「故宮博物院」の文物であるという扱いです。オレンジ色の瓦屋根に赤や金の華麗な装飾は、絶大な権力を誇った歴代皇帝の生活、宮廷の在りし日の姿を偲ばせます。ちなみに有名な「天安門」はお城の門の1つで、中にチケット売り場もあるので、両方の観光が容易にできます。
大運河観光の見どころ2:頤和園(いわえん)
北京北西部の郊外にある「頤和園」は、広大な皇室用の庭園だったところです。面積は290ヘクタールほどありますがその4分の3は昆明湖という湖です。頤和園には仏香閣という高さ41メートルの美しい塔があり、上部からは園の景観が眺められます。また、彩画で飾られた「長廊」は長さ728メートルもありギネスに載っています。
見どころの多い北京の頤和園ですが、ここにある昆明湖からはかつての皇室専用の水路をクルーズして北京市内まで移動できます。沿岸に柳の枝がなびく「長河観柳」と呼ばれるこの水路をクルーズすれば、蘇州を模した「蘇州街」、北京動物園や数々の寺が目に入り、飽きることがありません。時間のある方はクルーズでの移動をおすすめします。
大運河観光の見どころ3:痩西湖公園
北京市内を離れて「大運河」沿いの観光スポットをご紹介していきます。「痩西湖」は揚州にある細長い湖で、周囲は公園として整備されています。「大運河」からは5キロほど西にありますが、水路でつながっています。杭州の西湖を模して造った人口の湖ですが、幅100メートル、長さ4キロと細長い形をしているので「痩西湖」と呼ばれています。
揚州の「痩西湖」には大虹橋、小金山、白塔などの見どころがありますが、観光客に一番の人気は「五亭橋」です。アーチ型の橋の上に5つの四阿が建つ、優雅ながら変わった印象をもつものです。
「痩西湖」には遊覧船が運行されているので、のんびり湖上クルーズを楽しむのもおすすめです。特に新緑の春の美しさは格別です。
大運河観光の見どころ4:个園と何園
「大運河」が通る揚州にはかつてたくさんの美しい庭園がありましたが、度重なる戦火の中で多くが失われてしまいました。その中で残ったのが「个園(個園)」と「何園」です。
清の時代に造られた「个園」には「春の景」から「冬の景」まで四季を表した庭があります。ごつごつの岩と建物がうまく配置された、コンパクトながら見応えのある庭園です。
揚州の「何園」は、清朝の終わりに造られた庭園で、敷石で描かれた絵など西洋のテイストも散見されます。もともとは個人の庭園で21年もの歳月をかけて築かれたものです。園内最大の見どころは水心亭と呼ばれる建物と、それを取り囲む回廊です。風雅な回廊には梅や雲などたくさんの変わった形をした窓が開けられています。
大運河観光の見どころ5:大明寺
「大運河」が通る揚州には、日本と縁がある寺院「大明寺」があります。奈良の唐招提寺を開いたことで歴史上名高い鑑真が住職を務めていた寺なのです。
「大明寺」には鑑真記念堂、鑑真坐像、鑑真図書館など鑑真に関係するたくさんのものがあります。鑑真坐像は日本の唐招提寺にある像のレプリカだそうです。
揚州の「大明寺」には日本と中国を往復した遣唐使船の模型もあり、歴史好きなら興味が尽きないことでしょう。このように日本とも関係する文物がたくさんある関係からか、園内には昭和天皇が贈与した香炉や、福田武夫元首相が揮毫し贈った書などがあります。「大明寺」は遠い奈良、平安時代に思いを馳せながら観光ができるスポットです。
大運河観光の見どころ6:蘇州古典園林
「大運河」が通る蘇州にある「蘇州古典園林」は、世界遺産に登録されている庭園群です。登録されている庭園は9つあり、全てを観光するのは難しいでしょう。その中で代表的なのは「拙政園」です。
5ヘクタールの面積をもつ蘇州最大のもので、明代庭園の傑作です。主役は面積の約60%を占める池で、水を中心とした風雅な造りになっています。
「蘇州古典園林」の庭園群のうち、「拙政園」と並ぶもう一つの傑作は「留園」です。こちらは清代に今の形になった庭園ですが、起原は明代にあると言われています。「拙政園」と「留園」はどちらも個人の庭園だったもので、距離的にも少し離れていますが、「中国四大名園」に数えられていますので、時間があれば両方の見学をおすすめします。
大運河観光の見どころ7:虎丘
蘇州にある「虎丘」は春秋時代の呉王の墓陵で世界遺産になっているスポットです。王が埋葬された3日後に白い虎が現れたという言い伝えからこの名が付いたそうです。古くから「蘇州に遊びて虎丘に遊ばずは遺憾なり」と詠まれた名所です。広い敷地内には多くの建物や、「試剣石」と呼ばれる刀で切ったように割れた石などがあります。
蘇州にある「虎丘」の最大の見どころは「雲岩寺塔」という斜塔です。八角形で高さは47.5メートルの塔は、土台から15度も傾いていて、倒れないかと心配になってしまいます。
1階部分は見学可能ですが、内部は撮影禁止になっています。「虎丘」は広く、2時間以上の観光時間が必要です。
大運河観光の見どころ8:蘇州運河クルーズ
「大運河」の支流とも言うべき水路が縦横に通っている蘇州は「東洋のベニス」という人もいるほど、運河が人々の生活に密着しています。その運河を利用したクルーズは観光客に人気です。
両岸に見える建物や町並みには長い歴史が感じられると共に、そこに生活する人々の昔と変わらない様子を見ることができ、タイムスリップしたようです。
蘇州の運河クルーズには色々なルートがあり、途中の乗り降りも可能です。おすすめは虎丘南門から山塘街までの「上塘河」区間のコースで、見どころは太鼓橋や白壁で黒レンガ瓦の民家です。時間が許せばナイトクルーズもおすすめです。ライトアップされた町並みは、より一層情緒を増しノスタルジックかつロマンチックです。
大運河観光の見どころ9:鎮江の古西津渡街
「大運河」と長江(揚子江)が交差する地点にある江蘇省の鎮江は世界遺産にはなっていませんが、歴史的価値が高い「国家歴史文化名城」に指定されています。
その鎮江港に近い一角に整備された「古西津渡街」は中国の歴史的な町並みの中を散策できる、地元観光客にも人気のスポットです。
江蘇省鎮江の「古西津渡街」には土産物店や飲食店がたくさん並んでいてとても賑やかです。朝早い方が人も少なくゆったりと見て回れますが、食べ歩きなどが目的ならお店が開く昼近くに訪問するのが良いでしょう。また、夜はライトアップされて昼間とはまた違った雰囲気を味わうことができます。
大運河観光の見どころ10:無錫
「大運河」が通る無錫は日本の企業も進出していますし、『無錫旅情』という歌があったことからも分かる通り、日本人には馴染みのある場所です。太湖という琵琶湖の3倍もの面積をもつ湖があり、舟遊びなども楽しめますが、無錫で最近話題なのは太湖の近くにある「灵山大佛」という、端的に言えば仏教のテーマパークのような場所です。
無錫の「灵山大佛」でまず驚くのは高さ88メートルという仏像の大きさです。また、時間になると中から大仏が出てくるモニュメントもあります。
演劇が催されたり、中央に仏像が立った噴水、宮殿のような建物などがあったり、仏教に対するアプローチの斬新さに驚きの連続です。ここからの太湖の眺めが壮大です。
大運河観光の見どころ11:西湖
「大運河」の終点は浙江省の杭州です。杭州には世界遺産に登録されている「西湖」があります。1周15キロメートルのこの美しい湖は、季節や時間によって表情を変え、見る人を惹きつけてやみません。西湖には「花港観魚」「平湖秋月」など全て漢字4文字で表される「西湖十景」と呼ばれる風光明媚なスポットがあります。
杭州の西湖ではクルーズを楽しむこともできます。乗り場は湖に点在していますし、コースもいくつかありますので、都合の良いものを選ぶことができます。
中でも「湖濱一公園」の発着場の周囲には食事処などもあり、便利です。所要時間は結構長いものが多く、半日ほどかかる場合もあるので、そのつもりで予定を組むと良いでしょう。
大運河観光の見どころ12:霊隠寺
「大運河」の終着点、杭州の観光スポットとして西湖の西にある「霊隠寺」が挙げられます。ここは信心深い地元の人達の姿も多くみられる、4世紀に開かれたと言われる古い寺院です。建物は比較的新しい時代のものが多いのですが、宋や元の時代の石像などが残されています。仏像には素晴らしいものが多く、一見の価値があります。
杭州の「雲隠寺」は空海(弘法大師)が修行をした寺でもあり、境内には日中国交正常化30周年を記念して建てられた空海の像もあります。
「雲隠寺」の広い敷地内には多くの仏像をはじめ、博物館、小寺院、土産物店などがあり、見応えがあります。寺の近くの飛来峰には300体を越える石刻像があり、時間があればこちらの観光もおすすめします。
大運河観光の見どころ13:呉越号
このように、ざっと「大運河」の沿岸の観光スポットをご紹介してきましたが、蘇州から杭州まで1泊をするクルーズ船が運行されています。
「呉越号」という名のこのクルーズ船は、「大運河」の旅を楽しむための客船です。40人が乗船でき、客室も4人部屋から4星級(デラックス)まで4段階あり、部屋にはバス、エアコン、テレビがついています。
蘇州から杭州までをクルーズする「呉越号」は夕方17:00に蘇州を出発、翌朝7:00に杭州に到着します。船内で調理され供される中華料理も大変おいしいと評判です。行き交う舟を見たり、沿岸の夜景を楽しんだりしながらあっという間に時間は過ぎていきます。早朝の杭州の風景も風情があります。時間のある方は是非「呉越号」にどうぞ。
大運河を観光しに行こう
北京から杭州まで1800キロメートルもの長さをもつ「大運河」はそれ自体が世界遺産になっていて、中国の歴史ある町並みや文物を観光することができます。また、周囲に点在する世界遺産スポットを拠点にして「大運河」をセット観光することもできます。中国旅行を計画している方は、是非歴史ある「大運河」を訪問してみてください。
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