2018年05月26日公開
2020年07月14日更新
古代エジプトの壁画に隠された意味とは?文字や謎の神を徹底解説!
古代エジプトは紀元前3100年からローマ帝国に組み入れられるまでの間、記録に残っているだけでも3千年以上続いてきました。壁画からも国家の繁栄と彼らが多くの神々を崇拝していたことが解ります。今回は謎の多い古代エジプト壁画に隠された文字や神に迫っていきましょう。

目次
- 1壁画に残された人類最初の文字
- 2壁画から読み解く古代エジプト人の王
- 3壁画から読み解く古代エジプトベスの祭り
- 4古代エジプトの神殿壁画
- 5壁画が語る古代エジプトの神殿内部
- 6壁画から読み解く古代エジプトの紙
- 7古代エジプト壁画の文字ヒエログリフ
- 8古代エジプト死後の復活を意味する壁画の神聖文字
- 9古代エジプトのナイルを渡り死者の国へ
- 10古代エジプト壁画に登場する神話の謎
- 11古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も1:ハトホル
- 12古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も2:ホルス
- 13古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も3:イシス
- 14古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も4:セト
- 15古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も5:ネフティス
- 16古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も6:アテン
- 17古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も7:アンク
- 18古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も8:アメン
- 19古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も9:セベク
- 20古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も10:ラー
- 21古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も11:プタハ
- 22古代エジプトの壁画に隠された意味や文字の謎を再発見
壁画に残された人類最初の文字
文字の文明は現在のイラク・クウェートがある地域、メソポタミア南部を占めるバビロニアの南にある地域シュメールで始まったとされ、紀元前3千年後半までにはくさび型文字へと発達しエジプトの文字の発達もそれと並行していると考えられています。彼らが崇拝していたものや壁画に記録していたものから、風習や死生観までを紐解いて行きます。
壁画から読み解く古代エジプト人の王
ピラミッド建設に携わり神の加護を受ける
古代のエジプト人は彼らの王であるファラオを太陽神の子、つまり太陽神ラーの子、ホルスの化身だと信じていました。そのためファラオがこの世の王である間は、彼自身をハヤブサの姿をしたホルス神の象徴としてあらわしていました。ファラオは死ぬと空を渡って冥界へ行き太陽神ラーと合体するという事が壁画から解っています。
そして次のファラオが新しいホルスになる、と考えられていました。それは太陽が西に沈むと古代エジプトの人々は太陽がいったん死んだのだと思い、太陽は夜冥界を超えて朝までに東の空に着き日々生まれ変わると考えられていたからです。そのため冥界は西にあるとされ、死者はナイル川の西側に葬られ、行きている人の住む街は東側に建てられました。
古代エジプトの民は永遠の命を持つ王の元にいることで、エジプトの繁栄を約束されていました。でもそのためには王の遺体も永遠に保たなければならず古代エジプトでは、霊魂は帰る肉体がなければ滅んでしまうと考えられていました。ピラミッドは王の肉体を永遠に守るための人工の山。遺体のある玄室はこの山の奥深くにあります。
壁画から読み解く古代エジプトベスの祭り
各地方ごとに別の神話や神も存在
壁画や様々な記録から、古代エジプトの人々は歌ったり踊ったり食べたり飲んだりと祭典を大いに楽しんでいた人々という事も明らかになっています。古代エジプトは多神教で多くの神々が崇拝されていました。その中にはエジプト全土で崇拝される有力な神もあれば地方神もあります。有力な神は豪華な神殿に祀られ上級の神官によって神事が行われます。
これらの神殿で行われる儀式にはファラオと神官以外は参加する事が許されていませんでした。そのため偉大な神は庶民にとっては遠い存在、かわりにエジプトの庶民達はライオンの立て髪と尻尾をもつ楽しい事を司るベスやタウレトなど安産の神や地方神を大事にし、祭りがあると扮装したりお守りとしていました。

古代エジプトの神殿壁画
各エジプトの町に存在した守護神
エジプトの伝説では、神々は元々地上に生活していましたが今は死後の世界にいると解釈されていました。神殿は、その神が住む家だとされています。神官は毎日神の像を厨子から取り出し洗い清めて服を着せ、食物などを捧げていました。エジプトそれぞれの町の守護神は町が力を持つと同時に有力な神となっていったことが壁画から解ります。
例えばファラオが新しい町を首都に選ぶとそこの神はもはや地方神ではなくエジプト全土で崇拝される全国的な神となっていきます。壁画や文字の装飾が多く施されたエジプトの神殿は「この世」を現しています。そこに建つオベリスクは植物、床は地上、天井は空を表しています。中庭と列柱の先には祭壇のある聖所があり神殿を中心とした団地にも見えます。
壁画が語る古代エジプトの神殿内部
神官達に教えられる文字で書記に出世
祭壇のおかれた神殿内部の聖書はとても狭く暗いため、神官はたいまつを持ってなかに入り厨子を開けて神像に食物を捧げていました。その食物が減る事はありませんが神がその本質を食べているとされ、神が食べた後の食物は給料の一部として神官たちに分け与えられていました。紙幣制度はまだなく当時のエジプトの人々は物々交換で生計をたてていました。
大神殿の場合は、いくつもの建物が神殿を取り囲むようにして建っていたため、付近には神や神官達の食物をつくる農園や、様々な道具をつくる作業場もありました。神殿に雇われていた多くの技術者や労働者もこの団地のような場所に住んでいた様です。ここには付属の学校もあり少年達に文字を教え、読み書きのプロである書記を養成していました。
壁画から読み解く古代エジプトの紙
後世への足掛かり
古代エジプト人はパピルスとよばれる紙を発明した事でも有名、沼地に生えるパピルスという草の茎からつくられているものです。まず草の茎を切り皮をむいて短冊に裂き、長方形になるように板の上に並べ水に浸します。それをハンマーでたたいて海苔のようにし乾かしたものがパピルス、フランス語や英語のパピアやペーパーの語源になっています。
これら文字や紙は、国家の細かな存在記録を残し、文字を覚えた事によってあこがれの高級官僚への道が開ける第一歩でもあり、大臣や王に仕事内容を報告するために不可欠なものでした。また、古代エジプトの神殿や建築物の壁に壁画として文字を刻む事で彼らの崇拝していたものや風習、知恵を後世に残し伝えていく重要な手掛かりになっています。
古代エジプト壁画の文字ヒエログリフ
壁画に記される神々を賛美する言霊
「神聖文字」と呼ばれるヒエログリフは、古代エジプトの墓石や神殿に彫られた象形文字。古代エジプトの日常用にはもっと簡単な文字が使われていましたが、この文字は「メデゥ・ネチェル」(神の言葉)と称され壁画の文字そのものに霊的な力が宿るといわれ、古代エジプトの人々の思考様式をそのまま具現化したものになっています。
ヒエログリフの解読に大きく寄与したのは現在、英国の大英博物館に展示されているロゼッタ・ストーンと言われる遺物と「古代エジプト学の父」といわれる19世紀のフランス人研究者シャンポリオンです。この石碑はエジプト遠征中のナポレオン軍兵士が偶然発見したもので古代ギリシャ文字とエジプト民衆文字でも同じ内容が刻まれています。
古代エジプト死後の復活を意味する壁画の神聖文字
死者の復活を願う!呪術性の高い壁画文字
ルクソール神殿の壁画に刻まれたヒエログリフは、古代エジプト人の来世への想いが込められていて、ラムセス6世の墓の内部天井に記されたヒエログリフには、来世でファラオが安寧に暮らせるようにとの願いが込められています。古王国時代後期のピラミッド内部にも一面ヒエログリフが刻まれていますがその内容は王が来世で復活するための呪文です。
これら壁画に見られる文字や呪文は「ピラミッド・テキスト」と呼ばれるもの。中王国時代になると、ヒエログリフで記された呪文はミイラを納める木棺に書かれるようになりますがこれを「コフィン・テキスト」といいます。新王国時代には「死者の書」というパピルスの巻物に記されるようになり棺の中に納められるようになりました。
古代エジプトのナイルを渡り死者の国へ
太陽の船博物館に展示される謎の船
ファラオが死ぬと、西岸である死者の国へ行くため遺体は船に乗せられナイル川を渡ります。これは太陽神が空を渡るものを模した「聖なる航行」です。整備された高台には、壮麗な神殿が建ち河岸神殿とよばれる神殿入り口の壁画にはファラオの名前や称号が彫り込まれ、内部では多数の彫像を見ることができます。
神殿の中で神官たちは王の体を清める「清めの儀式」を行います。この儀式は王が神々の座に並ぶために必要な儀式、王はこの儀式を経て復活する事が可能になるとされています。太陽神が毎朝、東の空から新たな旅を始める前に聖なる湖で沐浴し生まれ変わるのと同じです。墓の壁画にはこの葬列の様子が描かれ神殿脇の建物でミイラづくりが行われます。
王の遺体を乗せた大きな木造船「太陽の船」は1954年にクフ王のピラミッドのすぐそばで発見されています。船は全長約43メートル。当時エジプトでは大変貴重とされていたレバノン杉で作られています。名前の由来は太陽神ラーが船に乗り昼は現世を、夜は黄泉の国を旅するという彼らの宗教観に基づいています。
こうした彼らの宗教観から太陽の船の謎は、クフ王が死後復活し太陽神とともにこの世とあの世を行き来する時の移動手段として建造されたものと考えられます。また、昼の間はアマンジェトという名の船、夜はメスケテトという名の船と、現世と来世では乗る船が異なるという伝承から第2の太陽の船があるという説もあるようです。
古代エジプト壁画に登場する神話の謎
壁画に描かれた冥界の王オシリス
古代のエジプト人はこの世の森羅万象には神が存在すると信じ長い間崇めてきました。主神である太陽神ラーの他天空の神ホルス、冥界の王オシリスなどエジプトの遺跡巡りや神殿巡りすると神々の名前や姿が壁画に登場します。まず古代エジプトの神話であるオシリス神話を見て行きますが、オシリス神は大地の神ゲブと天空の神ヌトの間に生まれます。
オシリス神は王として良い政治をしてきましたが、弟のセトはこれを妬み兄を殺害し遺体をばらばらに切断しナイル川に流してしまします。この事を知った妻のイシス神がオシリスの遺体の断片を拾い集めつなぎ合わせてミイラにし魂を復活させました。復活した彼は子供を王にし自らは冥界の王となったそうです。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も1:ハトホル
壁画に描かれた戦いの神
ハトホルは、神々と人間の母とされる大女神。古代エジプト神話では牛の角と耳を持ち、愛と美と豊穣と幸運の女神とされています。ハヤブサの姿をした天空と戦いの神ホルスのホルが含まれていることからホルスの母あるいは妻でないかとの説もあるようです。彼女の角の上に乗っているのは太陽の円盤、ラーの母である事も意味しています。
神話の中では、セトとホルスが戦った時に傷を癒したとされ治療の神として崇められ、死者が最後の審判にかけられる前に冥界へと導く案内人として登場します。エジプト中部に位置するデンデラが信仰の中心地とされ、多様な性格を持っていたたためエジプト以外でも広く信仰されていた神のようです。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も2:ホルス
壁画に描かれた王の象徴
ホルスはエジプトの中で最も古い神のうちの1人として知られ勇ましさや力強さの象徴でもある鷹(ハヤブサ)を神格化したものであり、エジプト王の象徴でもあります。ホルスは地上の王であるため王の正装をした姿で表される事が一般的。壁画にも完全な鷹の姿や、頭部が鷹の姿をした男性として描かれています。
王朝初期においては、王はホルスの化身とされホルス神は王そのものを意味する存在でした。しかし太陽神ラーが国家の最高神になるにつれラーに代わりホルスの地位が上になるのはまずいとされホルスはラーの息子に一階級下げられました。そのため王の立場も神そのものではなく神の息子へと変化していきます。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も3:イシス
壁画に描かれた大女神
イシスは、魔力を持つ大女神。オシリスの妹であり妻、最も有名な神々のうちの1人です。常に人間の姿として表されますが、神話の中で夫であるオシリスが死んで嘆く姿ではトンビに化身している事もあるようです。彼女のお頭の上には王座が乗っているのが特徴、夫であるオシリスの王座を守るという意味があります。
ピラミッド・テキストの文字には彼女の名前が繰り返し登場しているため古い神には間違いないですが起源自体は定かではありません。イシスの役割は死者の復活、農耕の神であり死と再生を繰り返す豊穣神としての役割を持ち、のちにホルス神の母としての母性も付け足されたとされています。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も4:セト
壁画に描かれた軍の守護神
軍隊の守護者であり砂漠と異国の神セトは、暴風と雷鳴を象徴するとされ、動物の頭を持っているのが特徴です。神話の中では甥のホルスと壮絶な王位争奪戦を繰り広げた神としても知られ、少々卑劣な手も使っていましたが文句無しの強さゆえ、敵の侵入を撃退する際には彼の強さが大いに必要とされた戦いの神です。
太陽が乗る船を守護する神がこのセト。地平線の下にある死後の世界は危険なところと考えられていたため太陽の船は数々の危険を乗り越えなければ東にたどり着く事ができません。太陽を飲み込もうとし、人間に害を与える巨大な蛇アポピスの天敵がセトとされ、太陽の守護に常に貢献していた最強の神です。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も5:ネフティス
壁画に描かれた天の女神
ネフティスはセトの妹で妻、頭にヒエログリフを載せているのが特徴です。姉であるイシスとよく一緒に登場するため区別がつきにくい事もありますが特徴は先祖の霊を祀るヒエログリフのある祠堂を載せているのがネフティスです。天の女神ヌト、大地の神ゲブから生まれた末っ子である彼女は一年の終わりを象徴しています。
そしてそれを象徴すると同時に年を閉ざし、新たな年を開くともされています。もっと大きな視点から解釈すると、ネフティスはこの世の終わりと始まりを司る神であるとも言えるでしょう。イシスが昼であるならネフティスは夜。イシスが活動や積極性をあらわすならネフティスは消極的なものや死をあらわしています。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も6:アテン
壁画に描かれた一神教の神
アメンホテブ4世が信仰していた唯一の一神教の神。あらゆる生命の源である太陽の神です。彼が存在しているだけで光と慈悲を与える国家主神として祀りあげられていて、元々は太陽神ラーから分離した神として知られていました。アクエンアテンによって国家神に祀りあげられてからは無数の腕がのびている姿で描かれています。
太陽から無数の光線が手のように伸び、恵みを与えてくれるという事から日本でいうところの千手観音のような神がこのアテン。宗教改革を行ったアクエンアテンがアテン神のために建造したアテン神殿で信仰されていた神ですがその場所以外ではあまり信仰はされていなかったようです。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も7:アンク
壁画に描かれた復活と再生の神
「アンク」とは復活と再生を司る神。死者があの世で生まれ変わり永遠の命を得る事です。古代エジプトでは、人が死ぬと冥界の入り口で「最後の審判」を受け無罪判決を下されたものだけが来世で復活できると信じられていました。この時に、お前は復活して良いとお墨付きを与えてくれる神がアンクです。
実際このアンク神は後の新王国時代にアクエンアテンという王が宗教改革を行った際に一神教の崇拝対象になった事がありました。多神教の古代エジプト宗教が一時的に一神教になった時期がありましたが、この試みは短期間で終わってしまい、その時古代エジプトで初めて唯一の絶対神になったのがアテン神でした。
古代エジプトの宗教は、後のユダヤ教、キリスト教、イスラム教にも多大な影響を与えています。アンクはある意味ユダヤ教のヤハウェやイスラム教のアッラーなど絶対神のもととなった重要な神とも言えるでしょう。アンクは太陽神の一種でもあり太陽神とは空のどこにいるのかによっても名前が変わります。
太陽神「ラー」は、太陽が南中して真上に位置している時の名前。東から昇り始めたばかりの太陽神は「ケペル」と呼ばれていました。古代エジプトでは昆虫のフンコロガシ(スカラベ)が神になっていますがこのスカラベが神になったものがケペルです。スカラベが糞を転がすようにケペルも丸い太陽を転がして空に運んでくるという意味のようです。
太陽が西に沈む際の呼び名がこのアンク。太陽は西の地平線に沈みいったん死を迎えそこから復活し再び東の空から昇ってくるためアンクは再生と復活の神です。この神を形にしたものがスフィンクス。スフィンクスも再生と復活の神で現地での正式な呼び名は「シェセプ・アンク」(アンクの形をしたもの)という意味です。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も8:アメン
壁画に描かれた創造の神
アメンは主にテーベで信仰されていた創造の神。後に太陽神ラーと結びつき神々の王となりました。新王国時代にテーベの町が首都になると主神の座にのし上がり2本の羽飾りを頭に載せた男性として表わされています。アメン神の信仰の中心地はテーベ。国の首都がラー信仰の中心地だったヘリオポリスからテーベへ移動した事で地位の逆転が起きました。
アメン神は、エジプト王国が栄華を誇った新王国時代を通して崇められた神で彼に仕える神官たちは国土の3分の1を支配するほどの権力と財力を誇りました。その絶大な信仰ゆえに影響力も大きく神官達と王族との間に亀裂が入ったほど。後に王権が衰えると、神官達が独立国家を建設するようになりました。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も9:セベク
壁画に描かれた豊穣の神
セベクはワニの形をした頭を持つ神。ラーやホルスと結びつき創造神、神々の王子とも言われています。古代エジプトより穀倉地帯として知られたファイユーム地方で主に信仰されていた神、農耕地の守護神であり豊穣の神という性格も持っています。この地方では人工的に農地を広げる取り組みがされていたため湿地に多く住むワニが神となったようです。
セベクのイメージカラーである緑はナイル湖畔の植物の色を表しています。神話では、セベクが川に流されたオシリス神の体のパーツを広い集めるのを手伝ったとされています。ただしワニは蛇と同様、ファイユーム以外の地域では危険な動物として嫌われるものでもあったため悪神とされ迫害される事もあったそうです。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も10:ラー
壁画に描かれた主神
ラーは太陽の神であり全ての創造主、日輪を頭に載せているハヤブサ、もしくは男性の姿で描かれている事が多いエジプト神話の主神です。太陽の事をラーと呼ぶようにラーは太陽そのもの。東から上り西の空へ沈む死と再生を繰り返す不滅の存在。古代エジプトの宗教観に強い意味を与えるので死者の書には祈りが繰り返し登場します。
「死者の書」とは、死後に再生そして復活するための手順や死後の世界を体系的にまとめたもので、この本の本来の名前は「日の元に出づるための書」。夜明けとともに復活する太陽のように、魂も復活するようにと願いが込められた呪文書でその最初の呪文が太陽を賛美したものになっているそうです。
古代エジプトの神々や壁画の意味!文字の謎も11:プタハ
壁画に描かれた職人の守護神
プタハ神はメンフィスの創造神で職人の守護神。職人の中で最も偉大なるものとの称号が与えられています。支柱を体にぴったりとつけた死者の姿で表されているのが特徴、その姿も信仰もほとんど変化していない珍しい神であり動物の姿で登場する事もありません。彼の妻は女神セクメト、息子は睡蓮を神格化したネフェルテムです。
太陽と関係の深い日中の神で、エジプトを最初に統一した王朝が首都に定めた中心に位置する町メンフィスで信仰されていた神です。王権が弱まった時代にもメンフィスは独立国家になっておらずかなり古い時代から信仰を集めていた神のー柱で、第一王朝初期には主要な神としての地位を確立していきました。

古代エジプトの壁画に隠された意味や文字の謎を再発見
古代エジプトの壁画を通しエジプトの風習や宗教観を目の当たりにする事によって王と神官、国民が一丸となって挑んだピラミッド建設や公共事業、国が滅びた現在もなお後世に受け継いでいく重要な遺産や壮大な英知、謎を地球上に残してくれていた事がわかります。他の地域や国にも大きな影響をあたえた壁画やエジプトの文化を是非堪能して下さい。
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