2018年06月04日公開
2021年01月06日更新
イラン料理はヘルシー!代表的ケバブや家庭料理も食べれるレストラン紹介!
長い歴史をもつイラン料理は、野菜や豆などを多用したヘルシーなものが多くあります。現地ではレストランがあまり発達しておらず、代表的な料理は家庭で作られます。今回は主なイラン料理と、日本でイラン料理を食べられるレストランをご紹介します。

目次
日本人の口にも合うイラン料理
日本よりはるかに長い歴史をもつイランは、ペルシアとして知られた国です。イラン料理は周辺のギリシア、ローマ、中東などの影響を受けて発達してきました。日本ではまだあまりなじみのないイラン料理ですが、豆や野菜を多用した料理は日本人の口にも合います。今回は代表的イラン料理と、それを食べられるレストランを何件かご紹介します。

イラン料理の特徴
「ペルシア料理」とよばれることもあるイラン料理は、私たちが「エスニック」と聞くと想像するような唐辛子の辛さは全くありません。どちらかというと味は薄めながらハーブや香辛料で風味を出しているような料理が多いのです。砂漠のイメージもあるイランですが、意外なことに新鮮な野菜も多く産出し、その野菜や豆類が多く使われます。
イラン料理では野菜と共に羊、牛、鶏などの肉類も多く使われます。反対に魚類はバリエーションが少なく、日本人には物足りなく感じるところです。イラン料理には米が多く使われます。細長く粘り気の少ないインディカ種ですが、米料理のバリエーションは豊富です。スパイスではサフラン、香草ではコリアンダー等がよく使われます。
イランはレストランがあまり発達していない国です。飲食店はありますが、ほとんどがケバブの店です。といって、イラン料理にバリエーションがないのではなく、伝統的イラン料理は長時間炒めたり煮込んだり、手間のかかるものが多いので商業的ではなく、自然と家庭料理として引き継がれているのです。イラン料理の神髄は家庭料理です。
イラン料理の宗教的制約
イランは厳格なイスラム教シーア派の国ですから、食生活も宗教の戒律に則ったものになります。まず、豚は不浄なものとされているのでポークは食べません。イラン国内では豚肉を入手することすら困難です。また、イカや貝など鱗のない魚類も食べません。売られてはいますが特定の場所に行かなくては買えないという状況です。
厳格なイスラム教の教えを守るイランでは、アルコールもご法度です。さすがに日本のイラン料理レストランでは酒類なしというわけにはいかないので、隣国トルコ産のビールなどを供するところもあるようです。またイラン料理では、厳密ではありませんが卵と鶏肉、牛乳と牛肉など、親子関係にあるものは一緒に調理しないという原則もあります。
イランの食習慣
イランの伝統的な食事方法は床に座って食べる形をとります。最近では西洋文化の影響でイスに座り、テーブルの上で食事をするというスタイルが都市部では主流になってきましたが、全体的にはまだ床に座っての食事をしているところが多くあります。台などは使わず、床の上に料理を並べます。
イランでは手づかみで食事をすることはありません。ナイフはほとんど使われず、スプーンとフォークで食べます。ラマダン月は断食の月で、日のある間は食べ物は口にしない人が多くいます。
厳格な人は水はおろか、唾さえ飲み下さないと言われていますが、断食は強制ではないので、子供や妊婦、病人はじめ、無理をしない人も少なくありません。
イラン料理で使われる変わった食材
同じアジアの国とはいえ、日本から遠く離れたイランですから、私たちにとっては珍しい食材や、馴染みの食材でも変わった使われ方をするのを目にします。珍しい食材の中でインパクトがあるのは羊の脳みそです。イランの人たちにとっては重要なカルシウム源ですが、煮込み料理にしたり、近年ではサンドイッチの具にもなっています。
イラン料理の変わった食材の1つに「バラ水」があります。文字通りバラの花から採った香り高い液で、デザートなどに利用されます。イランではザクロジュースで肉類を煮込んだり、ベリーの一種をご飯と一緒に炊いたり、日本人はあまりやらない組み合わせで作る料理もあります。意外ながらもおいしく食べられ、新しい発見をすることになります。
代表的なイラン料理1:米料理
イランは良質な米の産地です。日本のコメとは違って細長くて粘り気のないインディカ種です。イランではコメは長いほど良質とされ、長さが1センチを超えるものも見受けられます。炊くと独特のとてもよい香りがし、食欲をそそります。色々な具材と一緒に炊き込むことが多くのですが、米だけで炊く場合も塩を入れ、味を付ける場合がほとんどです。
イランではポロと呼ばれる炊き込みご飯がたくさんあります。そら豆のポロや甘酸っぱい赤い実の入ったゼレシュクポロ、レンズ豆のポロ、野菜のポロではキャベツポロやインゲンポロなどなど。
どれも肉と一緒に炊き込むので、ポロだけでバランスのとれた食事になります。お祝いの時には干し果物が入った甘いポロなども家庭で作られます。
代表的なイラン料理2:焼肉料理(ケバブ)
イランの外食料理と言えばケバブです。ケバブにも何種類かあり、日本でもよく見られる、大きな肉の塊が回転していて、外側からそぎ落としているドルネケバブはイランではほとんど見られません。イランのケバブは、タレに漬けこんだ肉をグリルで焼くものです。店それぞれに秘伝の味があり、単純ながらもなかなか奥深い料理です。
イランのケバブ料理に使われる肉は牛、羊、鶏などですが、羊と牛のひき肉を細長いハンバーグ状にしたクビデも人気です。香辛料も練り込まれていて香り高いのです。ケバブはたっぷりの白いご飯、焼きトマト、香草、ライム、バターなどと一緒に供されるので、肉以外を全部混ぜ、その後肉をのせてスプーンとフォークで食べるのがイラン流です。
代表的なイラン料理3:スープ
イランでは、レストランでも家庭料理でもスープの種類はあまり多くありません。が、スープを作る場合は骨を長時間煮込んで丁寧に出汁を取るので、とても奥深い味わいになります。スーぺジョーという大麦のスープは牛乳を使ったクリーミーなスープですが、たくさんの野菜も入っていて栄養満点、麦のプチプチ感を楽しめます。
イランのスープ料理アブグシュトは、ひよこ豆と野菜、ジャガイモ、肉などを煮たトマトベースのスープで、パンやご飯と一緒に食べます。レストランでは、金属製の壺のような、一人用の容器で出されます。スープはパンを浸したリご飯にかけるのですが、具は添えられているこん棒のようなもので潰して食べます。食べ方も変わっているスープです。
代表的なイラン料理4:煮込み料理
イラン料理にはホレシュと呼ばれる煮込み料理もたくさんの種類があります。家庭で長い時間をかけて調理され、野菜を肉と一緒に煮込んだものがほとんどです。ナスと羊肉をトマトやサフランと煮るホレシュテバーデムジューンは日本人も大好きな味です。レンズ豆の煮込みであるホレシュテゲイメもイラン料理の代表です。
イランの煮込み料理で是非試して頂きたいのはフェセンジャーンです。これは鶏肉や肉団子をクルミ、ザクロのペーストやジュースと一緒に煮込んだもので、客人が来た時などに出されるもてなし料理です。
真っ黒にも見える外見はインパクトがありますが、酸味とコク、旨みなどが絶妙にマッチした味は食べたことのない衝撃的なおいしさです。
代表的なイラン料理5:パン
イランでは米と同時にパン類もよく食べられます。パンといっても食パンやコッペパンのようなふんわりしたものは少なく、どちらかというとナンに近いもののバリエーションが多いようです。厚みもあり大きな草鞋(わらじ)のようなバルバリ、布のように薄いラバシュ、鉄板で焼くタベ、小石の上で焼くサンギャクなどいくつかの種類があります。
イランではたくさんのパンの種類があるわけではありません。パンをアレンジして味を付けるということもあまりしません。
小麦の質なのか、現地でパンを美味しいと感じる日本人は少ないようです。長い時間をかけて食事を作ることの多いイランの家庭ですが、パンを家庭で焼くことはあまりありません。町なかにパン屋がたくさんあるからです。
代表的なイラン料理6:デザート
イランの人は甘味が大好きです。干したナツメヤシの実などを食べることもありますが、お茶の時間にケーキやビスケットを食べるのも普通です。テヘランでは町なかにたくさんお菓子店があり、色とりどりのケーキが売られています。が、リキュール(酒類)が使えないので、今一つパンチに欠ける味のものが多いようです。
イランの家庭で作るデザートの代表は、ショレザードというお米から作るスイーツです。くずもちのような食感で、サフランを使って黄色くし、バラ水で香りを付けます。
ピスタチオなどで飾りをつけ、お祝いの席などで供されます。また、イランでは地方独特のスイーツもありますし、隣国トルコのバクラヴァなども食べられます。
代表的なイラン料理7:飲み物
アルコールがご法度のイランでは、食事の時にお酒が飲めないのが辛いところです。レストランで一般的なのはコーラやファンタなどの炭酸飲料ですが、ノンアルコールもよく飲まれています。お茶の時間でも食事の時でも、コーヒーはあまり飲まれません。イランでは小さなガラス製のコップで飲む紅茶が一般的です。
イランでは紅茶は濃く煮出し、飲むときにお湯をさしてちょうど良い濃さにします。角砂糖が一緒に出されますが、紅茶に入れて溶かすのではなく、かじって口に含み、紅茶と一緒に飲み下します。砂糖菓子を食べるような感覚です。グラスが小さいので、お代わりして何杯も飲むのがイランの習慣です。
イラン料理が食べられるレストラン1:アラジン
ここからは、イラン料理が食べられるレストランをご紹介します。東京の六本木にある「アラジン」はハラルフードを使ってイラン料理やアラブ料理を提供するレストランで、在日外国人の姿も多く見られます。ランチタイムには日替わりバイキングも実施しており、イラン料理をはじめ珍しい中東の料理が食べられると人気です。
六本木のレストラン「アラジン」では、イランの家庭料理も味わえます。マストムシルはガーリックパウダー入りのヨーグルトで、イランではディップとして一般的なメニューです。
野菜(主にほうれん草)とラム肉のシチューや、上でも紹介した豆とラム肉の煮込みであるホレシュテゲイメもメニューにラインアップされています。
イラン料理が食べられるレストラン2:ジャーメ・ジャム
東京の阿佐ヶ谷にある「ジャーメ・ジャム」は、更紗布や絨毯、銅製品などイランの工芸品が飾られた趣あるレストランです。メニューにはケバブ各種や煮込み料理が並びます。このレストランでのおすすめは前菜の盛り合わせです。焼きナスやひよこ豆のペースト、ヤギ乳のチーズなど、中東色満点の料理が野菜と共に少量ずつきれいに盛られています。
阿佐ヶ谷のレストラン「ジャーメ・ジャム」では、デザートにもトライしてみてください。イランのアイスクリームやかき氷がラインアップされています。
また、このレストランではオレンジ、リンゴ、メロンなど果物のフレーバーが付いた水タバコを吸うこともできますし、毎週土曜のベリーダンスショーも楽しめます。
イラン料理が食べられるレストラン3:シュル
埼玉県の大宮市にあるレストラン「シュル」は、イラン風チャイハネレストランです。衣料が売られていたり、ショーが行われたり、ベリーダンスにも力を入れています。料理メニューは必ずしもイラン料理ばかりではありませんが、ケバブをはじめ、ポロ(米料理)、ホレシュ(煮込み料理)など、イランの家庭料理が味わえます。
大宮のレストラン「シュル」でのおすすめは、そら豆の炊き込みご飯「バガリポロ」です。肉がトッピングされ、鶏、羊、魚のフライから選べます。
壺に入ったアブグシュトもメニューに掲載されています。ランチタイムでは食べられるイラン料理が限定されてしまうようなので、色々食べてみたかったらディナータイムの訪問をおすすめします。
イラン料理が食べられるレストラン4:ハーフェズ
首都圏以外でイラン料理が食べられるレストランがないか探してみました。大阪の心斎橋にある「ハーフェズ」は、イラン料理と共にトルコ料理、インド料理などを供するレストランです。ここでは料理を食べるだけでなく、イランではよく見られる水タバコを味わえるのが特徴です。果物やミントなどのフレーバーがついた水タバコはいかがでしょう。
大阪の「ハーフェズ」では、ケバブの種類が豊富です。エビのケバブも入った盛り合わせは2、3人前の分量なので、大勢でシェアして楽しく食べられます。
ひよこ豆、牛肉、ヌードルの入った酸味のあるスープ「アーシェレシュテ」、羊の煮込み「マヒチェ」などもトライしてみる価値のあるメニューです。
イラン料理を食べてみよう
イラン料理について見てきましたが、いかがでしたか。野菜や豆をはじめ、香草などもたくさん利用するイラン料理はなかなかヘルシーで日本人の口にも合います。残念ながらイラン料理を看板にしているレストランはさほど多くないようですが、トルコ料理の店などでイラン料理を食べられることもあります。見つけたら是非トライしてください。